【完結】ハナミズキ２(実況者ポッキー)

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「あ…」


それは見事に同時に発した言葉

あと数歩でコンビニに着く
そんな曲がり角
そこから現れたのは…避けている彼女だった

2人して顔を見て、その足を止めて固まってしまっている

少しだけ視線を下げれば松葉杖とその手に一緒に持っている小さな袋
それはそこのコンビニに行ってきた証で

偶然
目的地も、時間も、ほとんど一緒だった
今は、そんな偶然を呪った


「……」

「……」


だって、何の心の準備もないまま
しかも最後の別れ方が昨日のイベントのアレで

何を言えばいい、俺は彼女になにを
答えの出なかった問いは彼女を目の前にしたって変わらない

彼女も、気まずそうな表情のまま何も言わない
変な間
それに耐えられなかったように彼女は視線を逸らした

…それが答え

俺は勝手にそう解釈して
そして俺もきっと耐えられない

だから何も言わないまま、彼女の横を無言で通り過ぎた


「っ…」


詰まるような息遣いが聞こえた
だけどきっと、こういう事
これが正しい行動だ

俺達の関係はここで終わりなんだ

それはまるで心臓を掴まれるような気持ち
だけど仕方ない、俺にそれを拒絶する権利なんてないんだから
出来る事と言えば彼女をこれ以上泣かせない事

だから、


「っま、まって！」


大きな声
それと松葉杖が片方地面へ落ちた音
驚いて足を止めると数舜遅れて背中の服を引かれる感覚

通り過ぎた俺の背中を掴む彼女

松葉杖は落ちたまま
その声は震えていた


「…あ、あのっ」


引き留められた、その事実にとても驚いていて
だけど背中を掴まれているから振り返る事も出来ない
…それはむしろ都合がよかったかもしれないけど
一気に速くなる鼓動は呼吸を乱してくる
それは痛いくらいに

黙ったまま、何も答えずにただ立ち止まっている俺に彼女はその言葉を続けた


「ご、ごめん、なさい…その、困らせちゃって」


震える声、それは掴んでいる手も同様で
彼女は謝ってきた
まさか謝罪されるとは思わなくて、目を見開いた
だけど言葉はでないまま
彼女は震える声を抑えもしない


「っも、もう好きとか、言わないから
ポッキーとしての大雅も知っちゃって…そういう事も全部全部忘れるからっ」


ぽたり、ぽたり
その涙が地面に落ちる音が聞こえる
そんな、聞こえない筈の音が

震える彼女が、今どんな顔をしているか、なんて

立ち尽くすだけの俺に彼女は臆することなく


「もう馴れ馴れしくしない、困らせない
だから…だからっ

…いなく、ならなで」


私の前から


「友達で、いてくれませんか…っ」

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