【完結】ハナミズキ２(実況者ポッキー)

その後４ ページ18

少し困ったような声色で、言った

どこまでを、見越して言っているのか
だけど確かにその言葉は心に沁みて

私は大雅の胸の中、ふるふると首を横に振って強く抱きしめ返す
それが答え

きっと伝わった

だって


「…A」


耳元で、低く艶っぽく私の名前を呼んで
そのまま少し体を離す

その長い指で私の頬を撫でてから、両の手のひらを添えた


「こっち、向いて」

「ッ…、」


からかっていた気配は全部消えて
不意に訪れたその雰囲気に、心臓が口から出てしまいそう
緊張、こんなにも幸せな事なのに
手は震えて
どうしてこんなにも切なく心を締め付けられるのか

私は勝手に下がってしまう眉をそのまま
大雅に言われる通りに顔を上げる

絡まった視線
深い瞳の色はまるで吸い込まれてしまいそうだ、なんて


「たい、が」


近づく瞳に、吐息がかかる距離でその名前を呟いた
瞬間
飲み込むように、重なった唇

恥ずかしくて
嬉しくて
幸せで

私は思わずぎゅっと強く目をつむって
大雅の胸元に置いた両手はその服を掴んでいた


「っは…、ん」


重ねて、離れて
何度も何度も啄まれる

優しく
だけど呼吸を奪うかのように
くらくらする頭
私はついていくのに精一杯で


「…可愛い」


解放される頃には、呼吸は乱されている
そんな私を見下ろして、満足げにそう言う大雅はやっぱりＳなのかもしれない

からかうような口調に私は一生懸命呼吸を整えながら下から大雅を軽く睨んでみせた


「…い、いじわる」

「まさか」


愛情表現だよ

なんて、
冗談だけど、それでもやっぱり胸は高鳴ってしまって
からかいも嬉しいと感じている
それはもう心の底から

これが犬だったなら、きっと尻尾をブンブン振り回している事だろう
…重症だ、わかってる
だけど好きすぎる、素敵すぎる


恥ずかしい、嬉しい
そんな私の気持ちは筒抜けなんだろうか

大雅は私をじーっと見て
そして喉の奥で笑いながら、こつんとおでこをくっつけてきた


「これでも、我慢してるんだから」

「え…？」


これ以上になったら、A、大変だね

なんて、
その意味は理解するのにとても時間がかかって


「…真っ赤じゃん」


りんごみたい

そう笑った彼の瞳に映る自分は
確かに、りんごみたいに真っ赤になって固まっていた

その様子は大雅の言う通り
これ以上の未来なんて、今は想像も出来ない


(そんな日常の、ひとこま)







--------------------------------------

付き合って少ししたくらいな感じですね
姉に彼がポッキーさんだとバラしたり、ポッキさんがまだ照れたりする時期の事もいずれ書きたいですね

続く  (更新停止中) お気に入り登録で更新通知を受け取ろう

←その後３

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す