７５ ページ25
「はー…」
慣れた家に、部屋に、布団にとんでもなく癒される
体と心の疲れをどっと感じて
私は枕を抱きしめながら深く深く溜め息を吐いた
まとまらない思考
決められない行動
止められる自由
ストレスを感じるのは当然で
だけどそんな我慢は日常の中に沢山あるはずで
私だって社会に出て我慢する事なんていっぱい経験してきた
にもかかわらず、現状は過去のどんな出来事にも比較できないくらい重く圧し掛かっている
私はただ、マホトが好きなだけなのに
何度も何度も考えては否定される言葉を思い出して溜息が止まらない
ごろりと転がって、地面に投げ捨てた荷物に手を伸ばす
ギリギリ届いた鞄を手繰り寄せて、中に入れっぱなしのスマホを手に取る
そのままボタンを押すとパッと光る画面に
「あ…」
うつし出された通知
それはマホトからのメッセージだった
思い切り跳ねた心臓に、私は勢いよく体を起こしながらその通知を開く
『昨日何してた？』
それはとても質素でシンプルな、突拍子もない質問
だけど私の息を詰めるには充分すぎて
一気に昨日の夜の出来事が蘇ってくる
私は昨日、何をしていたか、なんて
「………」
考えて、考えれば
そんなの言える訳ないと思って
何より思い出しただけで顔から火が出そうな程なのに
私は少し考えて、そっとその返信ボタンを押した
『寝てました』
嘘は吐いていない
寝ようとして、眠れなくて
お酒も飲んだし、ジン君とも会ってたけど
何もしていない、最終的には本当に寝てただけだった
…何を焦っているのか
速くなる鼓動にそう冷静になろうと心で語りかけて
深く深呼吸をすれば、すぐに返ってきたその音に大袈裟に肩が跳ねてしまって
慌ててその画面を確認する、と
『誰と？』
その短い文字は、それだけで私の動きを固めてしまう程の衝撃だった
だっておかしいでしょう
会話が、噛み合っていない
だけど、どうして、なんで
もし、その会話が成立しているんだとしたら
それは…
「ッ！！」
返信も出来ずにその文字を見つめたまま固まっていると
途端に軽快な音楽を流す携帯
驚きすぎて、思わず投げてしまいそうになるのをぐっと堪えて
それは電話の着信音だった
震える指は反射的に通話ボタンを押してしまって
すぐに繋がったそれに理慌てて、解する前に耳にあてがっていた
「も、もしもし」
「今どこ」
「い…家、です」
「わかった」
行くから
なんて、そんな本当に一瞬の会話だけで一方的に切られた電話
私はそれを理解しようと必死に思考を動かしていて
それは所謂パニックというものだった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 238人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あやの - よかったです！！これからもじゃんじゃんコメントしますね｡ﾟ(ﾟ＾∀＾ﾟ)ﾟ｡ (2017年9月10日 11時) (
レス) id: fa8761fcb7 (このIDを非表示/違反報告)
ももた(プロフ) - あやのさん» 通知がきていなくて今気づきました！(＞＜)じゃんじゃんコメントが本当に意欲に繋がって助かります！(笑)これからも頑張りますね(＾＾) (2017年9月8日 23時) (レス) id: f1aa9eefcc (このIDを非表示/違反報告)
あやの - よかったです(;_;)しつこいぐらいコメントしてしまって大丈夫かなって思ってたので…笑これからもじゃんじゃんコメントしますね！！ (2017年9月6日 12時) (レス) id: fa8761fcb7 (このIDを非表示/違反報告)
ももた(プロフ) - らぶさん» アプリではなく、インターネットで占ツクにログインして頂き、設定からR指定を表示するという項目があったと思います！そうすれば私の作品一覧に「連載裏ページ」と出ますとでそちらからどうぞ(^^) (2017年9月6日 7時) (レス) id: 9c4e44a43b (このIDを非表示/違反報告)
らぶ(プロフ) - 裏ページってどこから探せばいいですか？ (2017年9月6日 7時) (レス) id: 7069f75504 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ももた | 作成日時：2017年5月26日 1時
