【完結】ハナミズキ(実況者ポッキー)

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「本当に…大雅だ」


テレビの画面に大きく映し出される、マスク姿
それはポッキーとしての大雅だった

気付いてしまえば、見てしまえば
どう聞いても大雅の声なのに
(気付かないもんだな)
なんて呑気に思った


翌日の昼過ぎ

姉はまだあと数日お店に出てくれるから、私は家事を頑張っていた
だんだんと自由に動ける様になってきた足
いつまでもダラダラしていられない、と割とアクティブに考えて

そして一息ついた今、その姿を目の当たりに


「…」


カメラの前で目元と声だけで笑う
知っている
その声も、目も、仕草も


「…なんで」


好き、すき
何度泣けば気が済むのかってくらいに、涙が溢れる
昨日だってそう、泣き疲れて寝たくらいなのに
過ごした日々を辿っては零れ落ちていく

たまらなくて、必死に涙を拭いながらテレビを消した

だって知ってるから
こんな想い、早くなくした方がいいんだって事
どんなに想ったって願ったって、届かない世界の人だって事
何よりも既に終わったあと、だから

…逆に運がよかったのかもしれない

だって知れば知る程、彼は有名人で、手の届かない人で
そんな彼に私は告白する事が出来た

そんな偶然、すごいでしょう？
想いを伝える事さえできない人の方がきっと多い中で

だから結果は、当然のもの


「……だめだ」


自分を説得する事に必死過ぎる
じゃないと押しつぶされてしまいそうで
一緒にいた時間が頭から離れなくなる




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