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「こんにちはー」

「あ、北川さん」


こんにちは
彼の挨拶に私も笑顔で同じ言葉を返した

あれから3日程
お花をほっておける筈もなく、私は世話をしにお店に出向く
何より私一人しかいないから致し方ない
両親も遠くまさかこんな所まで手伝いをさせに呼びつけるなんて出来ないし
だからといって友人に連絡するのも気が引ける

片足の骨折くらいなんてことはない

そんな風に自分を奮い立たせながら松葉杖で頑張っていると、初日から彼はきてくれて
何と手伝うと言ってくれた
有難いけど、申し訳ない
だけどどれだけ断っても彼が折れる事はなく、意外な押しの強さに少し驚きながら結局一緒にいる

そして今日で三日目


「また、名字」

「あ…」


反射的に口から出たその呼び名を聞いて彼は笑った
目を細めて、素敵な笑顔なんて思うのは心底彼に惚れてしまっているからなのか
その笑顔だけで本当にご飯が喉を通らない、胸がいっぱいになる

そして私は思い出す

友達になってほしいと突拍子もなくお願いした私を快く受け入れてくれた彼は、何度目かの会話で
友達なら名前で呼ばない?なんて
夢のような提案をしてくれた
私も二つ返事でそれを了承したんだけど、まだ一度もその名を呼べた事はなくて
浮かれたと同時にどうしても引け目を感じてしまう

だって彼には恋人がいる…筈

あの人が彼の恋人なんだとしたら私は何度か見ている
…泣いている彼女の手を引いていた北川さん
あれはそういう独特の空気だと思って
ちくりと痛んだ心は他の事で気を紛らわせられる程のもので
だからつまり私は恋心を自覚する前に玉砕している訳で、だけど小さな痛み。その程度の想いだったって事だ

それなのに、友達になってほしいだなんて
私は欲望に忠実なタイプだったみたい

あわよくばを期待しているんでしょう?
ちっぽけな理性で一生懸命に言い訳してるくせにね


「…なーんか、難しい顔してる」

「っ!」


彼は椅子に座った状態の私に近づいて、顔を覗きこむように少し腰をかがめた
その近さに私は考え込んでいた自分を自覚して驚く

それはとても簡易的な椅子
三本足の背もたれなんてついていない、不安定で小さなそれは
片足で自分を支える私の体が少し驚くだけでぐらりと揺れる

だから一瞬だった

私の視界は北川さんの顔から天井へと変わって
(あ、)なんて思った時にはもう遅い
片足で踏ん張る事も出来なくて、私は重力に任せて後ろへと


「え、まっ…!」


その様子に彼も驚いて目を見開く
そして手を伸ばして私の腕を掴んだ

だけどそれだけじゃもう遅すぎて

2人仲良く地面へ

6→←4



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ももた(プロフ) - ぴょんさん» ありがとうございます!ちょっとバタバタしてしまって停滞気味ですが、もう結末までストーリーは考え終えていますので、頑張って書いていきますね(^^) (2017年6月6日 0時) (レス) id: f1aa9eefcc (このIDを非表示/違反報告)
ぴょん - 続きがとても楽しみです!頑張ってください!応援してます! (2017年6月4日 2時) (レス) id: ff860ae17d (このIDを非表示/違反報告)
ももた(プロフ) - べにべにさん» 遅くなりました!こういうコメントのおかげで書き続けられます!本当にありがとうございます(^^) (2017年5月23日 22時) (レス) id: f1aa9eefcc (このIDを非表示/違反報告)
べにべに - 待ってます更新!!続きが楽しみです! (2017年5月21日 13時) (レス) id: 2e57339124 (このIDを非表示/違反報告)
マホlove - ありがとうございます!わざわざ調べていただいて。無事見れました!本当にありがとうございました!!!! (2017年5月19日 23時) (レス) id: 22d20cf1e3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ももた | 作成日時:2017年4月8日 1時

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