３３ ページ33
だけど大雅の反応は意外なもので
はっ、としたような気配
更に食い入るように距離を詰めてきて
「あ、そうか！これか」
Aが好きだって言ってた花
当然の様に言われたそれ
まさか、少し話しただけのそれを覚えてくれていただなんて
すると彼は少し嬉しそうに
「聞いてからちょっと調べたんだよ、ハナミズキ」
「えっ」
「"私の思いを受けて下さい"…だよね？」
花言葉
驚いて、言いながら悪戯に微笑む大雅に思わず視線を向けてしまった
告白の時に渡すなんて言うから、気になっちゃった
…なんて、子供のようにあどけなく真っ直ぐに伝えられた
驚いたのと、感動したのと
私は今どんな顔をしているのか
最早自分ではわからなかった
だからそんな顔を見られたくないから振り向かなかったのに
顔を、見てしまった
その事実は、笑顔は、声は、瞳は
私を引き込むのには充分すぎる程
泣いてしまいそうなくらいに詰まった感情は切なくて
どうしよう、好き、好きで、たまらない
細められたその瞳を見つめて
私は
「そう、私の思いを受けてください…だよ」
「だよね」
ちゃんと調べたんだよ
嬉しそうに言ってるから、より胸は苦しくなってって
止まらない
「…そう」
だから、
「受けて、くれる？」
「え、」
「私の…想い」
満タンに詰まった胸の奥のそれがもう溢れてくのを感じていた
止まらない、止まれる訳ないな、って
きっと先はまだまだあるんだろうけど
それでもこれ以上の気持ちがあるだなんて信じられない
そんな想い
これが、今の私の最上級
苦しくて、切なくて
眉を下げて大雅の目を見つめて離さない
「っ…」
驚いて、細めていた目を丸く開く大雅
彼も離さないのか離せないのか、見つめる視線はそのまま
その行動を止めて固まっていた
数秒の間、しんとした空間
冷静じゃない
わかってる、こんなの勢い任せで
伝えるつもりなんて全然なかった
それでも止められないくらいに好きになっちゃったんだって
どうしても知ってほしくなったのか
大雅は言葉を詰まらせて
そして眉を下げた
「…、た」
その表情に違和感を感じて口を開けば
急いで、伸びて来た右手は私の背後へ
背中にある私の服のフードを引っ張って
「っ！」
それを私に、被せた
その勢いに思わず俯いてしまって
大きなフードは完全に目を覆って、何も見えない
大雅はそんな私の頭上から
「…ごめん、」
なんて、小さくそう呟いた
見えた足元は方向転換して、そして足音
何が起こったのかも理解できないまま
あっという間に私は一人になっていた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 94人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ももた(プロフ) - ぴょんさん» ありがとうございます！ちょっとバタバタしてしまって停滞気味ですが、もう結末までストーリーは考え終えていますので、頑張って書いていきますね(＾＾) (2017年6月6日 0時) (
レス) id: f1aa9eefcc (このIDを非表示/違反報告)
ぴょん - 続きがとても楽しみです！頑張ってください！応援してます！ (2017年6月4日 2時) (レス) id: ff860ae17d (このIDを非表示/違反報告)
ももた(プロフ) - べにべにさん» 遅くなりました！こういうコメントのおかげで書き続けられます！本当にありがとうございます(＾＾) (2017年5月23日 22時) (レス) id: f1aa9eefcc (このIDを非表示/違反報告)
べにべに - 待ってます更新！！続きが楽しみです！ (2017年5月21日 13時) (レス) id: 2e57339124 (このIDを非表示/違反報告)
マホlove - ありがとうございます！わざわざ調べていただいて。無事見れました！本当にありがとうございました！！！！ (2017年5月19日 23時) (レス) id: 22d20cf1e3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ももた | 作成日時：2017年4月8日 1時
