【完結】ハナミズキ(実況者ポッキー)

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何だか様子がおかしい、とは感じたけど
それを追及する気もなければ私の勘違いという可能性だってある訳で
そんなものだと思う
そして何より彼を困らせたくはないから
何も聞かない

だけど私を守って怪我までさせてしまったのに、手当てだけして「はい、仕事に戻りましょう」も冷たい気がする

だから


「あの、よかったらちょっと休憩してかない…？」

「え？」


敬語になってしまいそうなのを気を付けて若干不自然になってしまう
だけど彼が言ってくれた"友達"という言葉が嬉しいから、頑張る

提案したのはこの場での休憩
きっと彼はまだ店で手伝ってくれる気でいるから
予想外といった表情の彼に私は慌てて


「お、お茶くらいしかないけど、よ、よければ…」


なんてどもりながら視線を逸らす
意識しまくって、恥ずかしい
だってこれは怪我も、仕事も、何にも関係のない時間のお誘い
感謝の気持ちも勿論あるけど
正直、好きな人が家にいる…その時間を引き延ばしたい、だなんて下心も強かった

すると彼は笑って


「それじゃぁ、お言葉に甘えて」


なんて、優しく笑ってくれる
その返事に浮かれて、足の事なんて忘れて勢いよく立ち上がった

それは当然


「え、ちょっ」

「っ！」


しまった、なんて思った時にはもう遅くて
ずるっと滑った足、私はその勢いのまま転びかけて
けど、その様子を察知して両手を伸ばした彼に、支えられる
２人して膝立ちの、不思議な状態で

彼は笑った


「転びすぎ」


ふは
なんて自然なその笑顔に見惚れてしまう
だけど同時に恥ずかしくもなってしまって、顔が熱い

本当、彼の言う通り不注意すぎる
骨折までしていて、ドジっ子なんて可愛いものじゃすまされないのに

それでも笑ってくれる彼の優しさに申し訳なさを感じて、謝ろうと口を開くと


「お茶は俺がするから、座ってて」


彼は私の肩を優しく掴んで、そのままその場に座りなおさせられる
そして冷蔵庫をあける事を私に宣言しながら歩いていくから私は慌てて


「ま、待って！私がするから、大雅は…」

「そんな足の人には任せられませーん」


悪戯に笑いながら楽しそうな口調で言われたそれに、私は言葉を詰まらせてしまう
確かに、まともに歩けないからさっきも転びそうになった訳で
納得してしまう
だけど、それでも


「だって、何にもお礼できない…」

「…俺がAちゃんにお礼してるつもりなんだけどな」


何か、おかしいね

お互いが助けて助けられてお礼し合って
謎の交代は少し笑えてしまう

彼はそんな風に言ってくれるけど
それだけではいそうですかって納得も出来なかった

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