至ってシンプル（ワタナベマホト）

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昔から音楽が大好きで
作詞も、作曲も、歌う事も

それをずっと趣味として細々とやってきた

ひたすらに楽しんで

だから正直とても羨ましかった

…上京していった、実の兄の事が


楽しい、羨ましい、妬ましい


そんな気持ちが高まっていて
そして身近で状況までされてしまったとあれば

私だって、挑戦したい


そして私はこの場所に来た


「！ 耕大！」


飲み込まれそうな人混みの中
迎えにきてくれるといった兄の姿を探して

とても目立つ髪色のその人
サグワ…もとい兄の耕大を見つけて、駆け寄った


「A！」

「えへへ、来ちゃった〜」


私を見つけて耕大もぱっと笑顔になって私を迎えてくれる


「本当に追ってくるなんてな〜」

「私だって動画頑張ってるんだもん」


いずれはって思ってたんだよ

なんて話しながら耕大は私の荷物を持ってくれて
兄の自然な優しさにほっこりする

見て頂いてわかるように私と兄の兄妹関係は良好で
とても仲がいいんです
耕大は昔から私をとっても可愛い可愛いって可愛がってくれて
私もそんな兄が大好きだった


今回の上京も耕大に沢山相談して、沢山協力してもらってる
家の事だって任せっきりで…

耕大がとめてくれていたタクシーに荷物を積んでそして私達も乗り込む
そして聞いた


「あ、部屋の事…ありがとう」


任せっぱなしでごめんね

そう、それは私がこっちで一人暮らしをする家
それを兄である彼が私と連絡を取りながら決めてくれて
契約等細かな事も、兄がいなければもっともっと大変だっただろう

全てがスムーズに進んでいるそれに感謝して、心からお礼をするけど

兄はそれを聞いて、とても複雑そうな表情を浮かべた

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