恋人編６ ページ26
熱い
それはもう私の熱なのかマホトの熱なのか区別がつかない
思考からとろけそうなのは切なさがどんどんとなくなっていっているからなのか
じりじりと胸を焦がしていた切なさを思い出して、愛しむ様に私に触れるマホトに夢の中にいるんじゃないかと錯覚させる程
とにかく私は幸せなんだ、今、最高潮に
「ま、まって、だめ」
だけど、ダメだ
私はぐい、とマホトを押して名残惜しそうに離れるマホトの顔を見上げる
少しむっとして私を見下ろす視線
「なんで」
求めてきたのはそっちなのに、とでも言いたげな口調で
確かにそうだけど
それでも私が止めた理由は至って単純で
「だ、だって誰か帰ってきたら…」
そう
私は今日でこの家を出る
だから送別会だなんて大それたものじゃないけど、何かしら買って帰ると連絡をもらっていた
…まぁたぶんお酒だろうとは思うけど
私もそれに合わせて最後だしという事で今キッチンにたっているんだから
ここは…この家でこれからそういう事をはじめてしまうはまずい
マホト醸し出す空気に吞まれそうだったけど案外頭は冷静だったようで思い出す
「あー…」
その言葉にマホトは目を丸くして
そして何かに納得したかのように声を漏らした
「大丈夫」
「え？」
「誰も帰ってこねーから」
にっこり
それは悪戯が成功した子供のような笑顔だった
だけど私は彼の言っている事が理解出来なくて聞き返す
「俺が連絡いれるまで帰ってこないんだって」
笑顔と、その言葉に
私は暫く時間をかけて漸く理解する
そもそも私とマホトが今この家に２人きりなのは彼が手配した結果だったようで
「な、なんで」
私は顔が熱くなってくのを感じた
どうして二人きりに？なんて
付き合っている以上そんな質問は愚問以外の何物でもない
だけどその理由はたくさん浮かぶから
純粋に恋人との２人きりの時間を取りたかっただなんて可愛い理由も考えられなくはないけど
私の頭はいやらしい妄想でいっぱいで、そんなに純粋にはなれなかった
だから、聞く
マホトの手が私の頬に触れて、絡まる視線に思考を読み取られる
「Aが今考えてる通り」
だと思うよ
そう付け加えて告げられたその言葉に私は息が詰まる
だってそれだとマホトは最初から"そういう事をするつもりだった"って事になるから
それは先程まで言っていた事とは矛盾してしまう
恥ずかしいけど、嬉しい
ただただ単純にそう感じる心に素直でいればいいのに
天邪鬼な私はそれだと納得しないようで、可愛げがなかった
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於音 - 本当にいい小説でドキドキ凄かったです！！感情が顔に出てしまいました笑笑これからも頑張ってください！ (2020年4月27日 23時) (
レス) id: 34eb78efc2 (このIDを非表示/違反報告)
あみ - とてもいい小説で、泣いたのは、これが初めてでした！いい作品ですね！♪( ´ ; _ ; ` )これからも頑張って下さい (2018年10月1日 19時) (レス) id: d07448dafe (このIDを非表示/違反報告)
ももた(プロフ) - sakura829twinsさん» ありがとうございます！書くのもとても楽しかったですが、そういうコメントを頂けると本当に励みになります(^^)次はおそらく「恋人ごっこ」という作品がもうすぐ最終回ですので、もしよろしければそちらもお願い致します(笑) (2017年7月12日 17時) (レス) id: 9c4e44a43b (このIDを非表示/違反報告)
sakura829twins(プロフ) - 占ツクの小説を読んで泣いたの初めてです(泣)ほんとにいい話でした！読めてよかったです！！ (2017年7月10日 19時) (レス) id: d081082d44 (このIDを非表示/違反報告)
ももた(プロフ) - みにーさん» 作者の作品一覧からご覧下さい(^^)それでも表示されない場合はネットから夢ツクールへ行って頂き、設定ページにてR18の表示設定をして頂ければ出てくるかと思われます。 (2017年4月24日 23時) (レス) id: 9c4e44a43b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ももた | 作成日時：2017年4月2日 3時
