【完結】約束4(ワタナベマホト)

１３９話 ページ3

閉じていた目をあける


私は記憶の欠片を集めながら、ひたすらに歩いた
どこまでも続く闇はそれこそ際限なくて

突き刺さる風が辛すぎて
真っ白な世界で諦めていたらきっとこんな思いはしなくて済んだ

だけど、欠片は私の想い

それをひとつひとつ拾って
どれを見ても、何を感じても


その全てに、マホトがいた


私の中のマホトを想う気持ちが
こんなに強く強く溢れて

分かっていたのに
抑えきれないと知っていたのに


あの笑顔を忘れ去る事なんて、出来るはずない


溢れる涙をそのまま
吹き荒れる風の中
前も後ろももうわからない状態で彷徨って


見つけた、最期の欠片には


「ッ…、」



歪みが浮かび上がって
その隙間から伸ばされる、手

それはとても見慣れた、優しいそれ


「…かえってこいよ」


こんなにも激しい空間で、落ち着いたその声はハッキリと聞こえて
私は胸が張り裂けそうだった

ゆっくり、ゆっくりと

その手を、取る
涙はとまらなくって

貴方はこんなところでも

また、救ってくれるの…？



「っ、マホト…！」



私を救う優しい手

その温度を、よく知っている

その手に思い切り引っ張られて
私は暗闇を抜け出して、目も開けられないほどの光に意識を失った


そして、再び開いたその瞼は

非情に重たかった

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