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帽子を取り、頭を下げて中也は依頼をする。


Aは困った。


中也がメルロの存在に悲しくなるのなら、いっそ忘れ去られた方が・・・と思ったものの、そんな簡単なものではないらしい。



その様子に罪悪感を覚えながらも、あまりに一生懸命な態度に『できません』が言えない。


自分を探してくれているその必死さに喜びすら感じている。
必要としてくれていることを、嬉しく思っている。






『探してみます。でも、その人工知能はすでに消滅している可能性もありますので、ご了承ください』




こう答えるのが精一杯だった。





中「いや、メルロは必ず存在してる」


気弱なAの発言に対して、中也ははっきりと言い放つ。


力強い断言には、何か理由があるとしか思えなかった。



『なぜ・・・断言できますか』



中「覚えてるか、マフィアの首領。メルロはマフィアの科学者が作成したらしくてな、メルロが消滅した際には彼奴がもっているデータが首領のパソコンに戻るようになってるらしい。でも、そんなものはなかった」


『あー、そんな裏設定あったんですね』と心の中で彼女は呟く。



『つまり彼女が集めたデータが戻っていなかったので、彼女が生きていると?』



中「あぁ、そうだ。俺はメルロの上司だからな。あいつがいるなら必ず見つけるつもりだ」


この人の目は、いつも変わらない。
まっすぐ前を向いて進み続ける人だと。


4年ぶりに目を合わせて会話する中也に、Aはそんな懐かしさを覚えていた。



『変わらないですね、中原さん。今も4年前も』




ーーー必ず探し出す





そう言ってもらえたのは、これで何度目だろうか。

その言葉に救われたのは、一度や二度ではない。


もう数えられないほど・・・

私はあなたに救われている。





声に出せない気持ちを抱えて、彼女は中也を見続ける。

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出雲(プロフ) - 凛眞さん» コメントありがとうございます!呼び方間違えたかもしれません!次回作から改善しますね!情報ありがとうございます! (2017年10月9日 20時) (レス) id: ac01b1ef17 (このIDを非表示/違反報告)
凛眞(プロフ) - とても面白いですね!ところで思ったのですが、森さんは中也を「中原くん」ではなく「中也くん」と呼んでいた気がします!これからも更新頑張ってください! (2017年10月9日 19時) (レス) id: d97172139d (このIDを非表示/違反報告)
出雲(プロフ) - 紫猫日和さん» 夢主・・・つい驚いてボロがでましたね笑 これからもバタバタしながら頑張る彼女の応援、お願いします!更新頑張りますね!ありがとうございます! (2017年9月28日 17時) (レス) id: ac01b1ef17 (このIDを非表示/違反報告)
紫猫日和(プロフ) - 32話思いっきりメロルで喋ってる夢主可愛いです!更新頑張ってください! (2017年9月28日 16時) (レス) id: 1d1f3bbcfd (このIDを非表示/違反報告)
出雲(プロフ) - Pluieさん» わぁぁ!感動だなんて・・・コメント嬉しすぎます!これからも更新頑張りますね!! (2017年9月15日 7時) (レス) id: ac01b1ef17 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:出雲 | 作成日時:2017年8月25日 21時

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