34こ目 ページ34
私たちのいた孤児院は、少し大きな建物だった。
大人の言うことは絶対遵守。
間違っていても逆らえば生きてはいけない。
とりわけ院長先生は、そんな小さな国を支配する王様だった。
孤児院の大人は得点というものを設けており、大人にとって都合の良いことをすれば得点は得られる。
得点が減ると食事はもらえない。
他人を蹴落として生きていくことが処世術だった。
その中で、懲罰隔離の多い敦は得点稼ぎの獲物であった。
そして片割れの私は同じく隔離されることもあり、時折目の前で弟が苦しむ様を見せつけられるのだ。
お前が然りと弟を見ていないからだと。
院長先生からの罵倒を受け、寒い外に放われた。
地下牢に閉じ込められた。
自分の足を、杭で打たされた。
吐き気のするような暴力だった。
それで、私もだんだん壊れて行ったんだ。
調査を中断して、近くの公園で休ませてもらう。
谷「えと・・・知りあいだったの？」
俯いてしまう敦に代わり、応える。
『・・・私たちのいた孤児院の、院長先生』
敦「・・・・・・信じられません。あの院長先生が死んだなんて」
・・・確かに。
谷「雑誌の切れ端が見つかってね、院長先生は敦君を探していたみたいだ。2人とも大丈夫？辛かったら休んでも・・・」
敦「辛い？何故です！？最高の気分ですよ」
震えが声に現れてる。
『・・・敦？』
敦「あの狂王が死んだ！毎晩魘される悪夢の原因が消えたんですよ！」
動揺して、感情が抑えきれていない。
谷「・・・敦君を探してた理由は気にならない？」
敦「銃で僕を殺すか、器量の良い姉さんを連れ戻すためです。知りたくもない」
知りたくない。
思い出したくない、そんな感情。
敦にとって、孤児院は監獄だった。
『だめよ。仕事・・・でしょう。谷崎さん、密輸銃を持っていた。私は一度探偵社に戻って太宰さんに心当たりを聞いてきます』
谷「分かった。僕らもすぐに戻るよ」
私は先に戻った。
『どうして・・・・・・こんなことになったの？』
私は歩きながら、静かに涙を流した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 173人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
出雲(プロフ) - 千さん» コメントありがとうございます！太宰さんは何でも分かってそうだって印象です！次回も頑張ります！ (2017年8月26日 16時) (
レス) id: ac01b1ef17 (このIDを非表示/違反報告)
千(プロフ) - お疲れ様でした！太宰さんが些細な会話に違和感を持っているところが流石だなと思いました！ありがとうございました。次作も頑張って下さい！ (2017年8月26日 12時) (レス) id: c3a5a30d5d (このIDを非表示/違反報告)
出雲(プロフ) - 梅雨風夏さん» コメントありがとうございます！今回は個人的に伏線を多く使ったつもりでした！なので伏線について評価してもらえるのはすごく嬉しいです！ありがとうございます！ (2017年8月25日 21時) (レス) id: ac01b1ef17 (このIDを非表示/違反報告)
梅雨風夏(プロフ) - 完結、おめでとうございます！伏線の貼り方が迚も上手で驚かされました！これからも頑張ってください！ (2017年8月25日 21時) (レス) id: 306f9f397d (このIDを非表示/違反報告)
千(プロフ) - 分かります！私弟いるのですがもう生意気で生意気で…。でも敬語外した敦君みたいな弟ならうぇるかむ!です！ (2017年8月25日 11時) (レス) id: c3a5a30d5d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：出雲 | 作成日時：2017年6月28日 9時
