側近は電脳少女 ２

データ18 ページ19

ひとりきりの部屋の中で、Aはひどく狼狽えていた。



正体がバレた・・・！？



メールの送信のタイミング、電子手紙を開くまでのロック、間違いなく森と情報部のパソコンに電子手紙を送った人物と同じ。



4年間姿をくらまして、つい少し前に人間としてマフィアに戻ってきた。



正体がバレる心当たりがない。




しかし、電子手紙にある【親愛なるメルロ様】という文章をみると嘘ではないらしい。



マフィアのコンピューターに侵入、
情報部の城ノ崎でも突き止められない発信源、

そして、Aの正体を見破る情報網。


相手も相当な腕前の情報屋らしい。


考えた末に、連絡を取ることにした


【初めまして。

アナタの回答次第で、私は取引をするかどうか決めるつもり。

率直に伺います。

アナタは誰?
目的は何?】


率直な聞き方だが仕方がない。



もしも本気で取引したいのなら・・・何かしらの反応を取ってくるはず・・・。


Aはこれまでの脅迫のパターンから、最適解を導き出した。



彼女の恐ろしいところは、焦りながらもどこか冷めていて冷静なところだろうか。




程なくして、返信が届いた。


【ワタシが誰かはお答えできません。

目的は
アナタにワタシの依頼を受けてほしい。

あるサーバーに入り込んで、そこにあるファイルが欲しいのです


ファイルを無事に手に入れたのならアナタの正体のことは秘匿し・・・


マフィアの情報からは手を引きましょう】


・・・ファイル？


おかしい。


城ノ崎やAを混乱させるほどの腕前を持つ人間が手に入れられないファイルを、あえて同等レベルの人間に任せるわけがない。



つまり・・・


『電脳生物でしか手に入らないファイル？』


心当たりはひとつしかなかった。

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