第54話 ページ7
A「なんで…？」
ホーリーロード準決勝戦、私の頭の中はたった１つの疑問で埋め尽くされていた。
何故こんなところにいるんだ、こんなはずじゃなかったんだ。様々な感情がぐるぐると渦巻く。
考えれば考えるほどに様々な疑問が浮かんでくるが、今私が一番聞きたいことは１つ。
それは…
『なんで私は雷門のベンチで試合を見てるんだ!？』
心の中でそう叫んだ。
シリアスな展開を期待した人ごめんなさい、と言わんばかりのくだらないことだった。
しかし、私の中ではかなりの問題だ。
ことの発端は、今朝の来客だった。
いつも通りの清々しい朝を迎え、今まさに準決勝を見に出発しようとしていた時だ。
A「それじゃ、いってきま…」
ピーンポーン
家を出ようと玄関のドアに手をかけたところで、呼び鈴が鳴った。
こんな朝早くに来客なんて珍しいなと思いつつもそのままドアを開け、顔を覗かせる。
が、ドアの外にいた予想外の人物に思わず思わず扉を閉めてしまった。
いやいや、まさかね。アイツがわざわざうちに来るわけないし…そもそも来る理由がないじゃん、ねぇ？もう一回確認してみよう、そうしよう。
自分に言い聞かせるように言い訳を並べ、もう一度ドアを開ける。
剣城「客目の前にしてドア閉めるかよ、普通」
A「…」
どうやら気のせいじゃなかったらしい。
目の前に立っているのは、紛れもなく剣城京介だった。
A「…何の用？」
今日は新雲学園との準決勝、そして剣城の格好はこれから会場に向かうであろう部活ジャージの格好。嫌な予感しかしない。
剣城「今日の試合、仮入部であるお前も一緒に行くことが決まった。さっさと制服に着替えて一緒に来い」
案の定、期待を裏切らない知らせに思わず眉間にシワを寄せてしまう。
そもそも私が仮入部を続けることを選んだのは、雷門と深く関わることを避けるためだ。
一緒に見に行くなんて、『革命が終わるまでは遠くから見守る』という私の考えに反している。
そんな私の返答はもちろん
A「嫌だ、絶対一緒に行きたくない」
誰が一緒に行くものか。どんなことを言われようが、この意見を曲げる気はない。
剣城「そうか、仕方ないな……。なら松風や監督をここに呼んで、説得してもらうしかないな」
A「よろこんで行かせていただきます！！」
天馬と鬼道さんを引き合いに出すのは反則だろと思いながらも、私は自ら雷門のベンチに座ることを選択してしまったのだ。
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作者名：master_2 | 作成日時：2023年3月27日 1時
