第52話 ページ5
A「とは言ったものの、どうするかなぁ…」
練習後、選手たちより少し早めに帰してもらった私は悩みながら通学路を歩いていた。
本入部をすれば、今よりもかなり多くの情報を得られる。なにせ選手になれば一緒に練習しながら現状が把握でき、マネージャーになれば選手データが手に入るのだ。
情報はあればあるほど豪炎寺さんたちも動きやすくなるはず。
しかし、その分リスクも大きくなる。
私がシードだとバレた時、困るのは私だけじゃない。勘のいい鬼道さんなら豪炎寺さんとの繋がりを疑うだろうし、下手をすれば存在を黙認していた剣城も責められかねない。
A「どうするかなぁ…」
色々と考えながらトボトボと歩いていると、予想外な人に声をかけられた。
「悩み事かい？」
A「アフロディさん…！！」
私に声をかけてくれた人、それは木戸川清修サッカー部の監督のアフロディさんだった。
亜風炉「悩み事なら聞くよ？」
そう言うと、アフロディさんはニコリとほほ笑んだ。
近くのカフェに入るとアフロディさんがケーキセットを二つ注文してくれた。
飲み物はカフェラテで大丈夫だったかな？と聞かれたので、あ、大丈夫です、とやや覇気なく答える。
注文したものが運ばれてくるまでの間に、入部について悩んでいることを打ち明けた。
亜風炉「なるほど、雷門のサッカー部に入部か」
A「はい、どうしたらいいか分かんなくって…」
一通り説明し終えると、こんな言葉が返ってきた。
亜風炉「Aちゃんが思うようにやればいいんじゃないかな」
A「…簡単に言いますけど、もし入部して色々バレたら自分だけじゃなく、周りの人にも迷惑がかかるんですよ？」
亜風炉「うーん、Aちゃんは周りのことを考えすぎなんじゃないかな？入部したい理由も入部できない理由も、全部自分じゃないところにあるような気がしてさ」
A「自分じゃないところ、ですか」
亜風炉「そう。例えば入部したらAちゃん自身にどんな良いことがあるか、考えたことある？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：master_2 | 作成日時：2023年3月27日 1時
