第48話 ページ1
翌日、昨日の特訓による若干の筋肉痛を引きずりながら学校へ行く。
3時間目は、珍しく他クラス男女混合の体育だった。
その授業の冒頭で、
先生「今日の体育は『サッカー』を行います」
という、私への嫌がらせのような言葉が告げられた。
疲れるし、やっていてもつまらない『力加減をしながらのサッカー』を私にやれと言っているのだ。
下手に参加してバレるよりは、始めからやらない方が身のためだろう。
先生「それでは5人でチームを組んでください」
A「先生、私見学を…」
葵「Aちゃん！ほら、チーム組も！」
葵ががっしりと私の腕をつかみ、そのままズルズルと引きずっていった。
この多少の強引さがサッカー部の支えになっているのかと感心する自分と、まさかの強制参加に若干冷や汗をかいている自分がいた。
無理矢理連れて来られたチームのメンバーは、空野葵、西園信助、松風天馬、そして剣城京介。
つまり、サッカー部しかいなかったのだ。
剣城に、何故お前が参加しているんだという目をされたけど、そんなん私の方が聞きたい。
先生「それでは試合を始めます。松風君のチームと狩屋君のチームはAコートに行ってください」
天馬「1試合目は狩屋とかあ！！負けないよ！！」
狩屋「天馬くん気合入ってるなー。ま、俺だって負けないけどね」
それぞれのチームがグラウンドへ移動し終えたところで、先生が試合開始のホイッスルを鳴らした。
先生「それでは、試合開始！！」
強制参加させられたとはいえ、動かなければ参加しないのと同じ。
フィールドの端の方で試合の様子を見ていることにした。
天馬「剣城、パス！」
狩屋「やらせない!!」
といったような、サッカー部同士の白熱した楽しそうな戦いが繰り広げられていた。
ぼんやりと試合を眺めていると、急に私のもとにボールが飛んできた。
A「あぶなっ……」
反射的に足が出て、ボールを受け取ってしまう。そして周りを見てみると、味方全員がマークされていた。
相手のチームは狩屋マサキ、影山輝とサッカー経験者のため、サッカー部でもマークをはずすことが難しいらしい。
天馬「A、あがって！！」
それ以外選択肢がないみたいなので仕方なく軽くドリブルをする。
すると、相手のDFがボールを取りにこちらへ走ってきた。
ここでボールを渡してしまえば色々と気を使わずに済むのだろう。
だが、
……負けるのは嫌いだ。
生徒「もらったぁーッ！！」
ボールを蹴った音がした。
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作者名：master_2 | 作成日時：2023年3月27日 1時
