第5話 ページ7
1時間目の自習の時間は予想通りというか、私への質問攻めの時間となった。
生徒Ａ「ねぇねぇ、常野さん。なんて呼べばいい？」
A「じゃあ、 A でよろしく」
生徒Ｃ「Aちゃんってかわいいよね」
生徒Ｂ「彼氏とかいるの？」
A「残念ながらいないよ」
こういう風に質問攻めにされるのは好きじゃない。
あくまで穏便に答えるがシードとして雷門中で動く以上、必要以上に目立ちたくはないのだ。
すると意外な人物から声を掛けられた。
天馬「はじめまして！俺、松風天馬。こっちは信介と葵。みんなサッカー部なんだ」
松風天馬という名前に思わずほう、と声を上げそうになる。
天馬「部活何に入るとか考えてる？もし良かったらサッカー部に見学に来ない？」
サッカー部に入る、というのは魅力的な提案ではあった。サッカー部の動向を探るにはサッカー部員になるのが手っ取り早いだろう。
たがそれと同時に自分の正体がバレるリスクが大きくなることも事実だった。
少し考えた後言葉を返す。
A「部活はまだ考えてないけど…とりあえずはこの学校に慣れてから考えようかな。サッカー部の見学に行く時があればまたよろしくね、松風くん」
天馬「うん！」
その後も生徒たちの質問は続いたが、遮るように1時間目終了のチャイムが鳴る。
生徒Ｃ「あっ、次移動教室じゃない！？」
生徒Ａ「やべっ、急ごうぜ」
さっきまでの光景が嘘だったかのように、皆は教室から去っていった。
A「はあ…、やっと一息つける…」
椅子の背もたれに体重を預け、ズルズルと脱力する。
??「おい」
教室に誰もいなくなったと思っていたら、1人厄介な奴が残っていた。
わざわざ私の机の真正面にやってくる。
私は脱力した体制のまま煽る様に言葉を続ける。
A「他のサッカー部の人たちと違って挨拶してくれないのかと思っちゃったよ、剣城」
ちらりと目の前に立つ剣城を見上げると、きついツリ目で睨み返された。
剣城「どうしてお前がここにいるんだ、常野A。いや、城之院A！！」
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作者名：master_2 | 作成日時：2023年3月19日 11時
