第44話 ページ46
天馬side
まさかイシドシュウジが俺の命の恩人だとは思わなかった。
その後、おそらく俺はたくさん質問をしたのだろうけど、全く記憶に残らなかったなかった。
1つだけ記憶に残っているのは、
『答えを知りたければ、ホーリーロードを勝ち抜いていくことだ』
の一言。
もやもやとした気持ちを抱えたまま、俺は家に向かった。
---Aside---
天馬と話し終えた豪炎寺さんが河川敷から戻ってくる。
A「お疲れ様です、豪炎寺さん」
イシド「世話をかけたな。それと……」
豪炎寺さんは、私の後ろの3人に目をやる。
メイド「気になさらないでください」
コック「『豪炎寺様の頼みはお嬢様の頼み』ですから」
執事「それに、我々も楽しませていただきましたし」
A「それにしても驚きましたよ、いきなり『元演劇部の人を探してくれないか』って言われた時は」
そう、あのひったくりのくだりは全て演技だった。
豪炎寺さんが天馬の恩人だと言うことをバラすための場を用意するために私の家の者と協力した、というわけだ。
A「天馬、大丈夫ですかね」
天馬が帰って行った方の道を見る。
自分のサッカーを始めるきっかけを作ってくれた人がサッカーの管理を行っている、そのすべてを知りたければホーリーロードを勝ち抜かなければいけない、なんて。
イシド「問題ない。松風天馬にはサッカーを想う心がある。それにチームメイトや…アイツらがついているだろう」
アイツら、と名前を伏せたが私には伝わった。
今も昔も豪炎寺さんが頼りにしている、円堂さんや鬼道さんたちの姿が。
A「それもそうですね。では私たちはこの辺で失礼します。夕香さんにもよろしくお伝えください」
イシド「ああ、世話になったな」
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作者名：master_2 | 作成日時：2023年3月19日 11時
