第39話 ページ41
ビルから出ようとしたときにばったり出くわしたのは、豪炎寺さんと虎丸さんだった。
二人ともゼェゼェと息を切らしている。
A「豪炎寺さんに虎丸さん！？どうしてここに…」
イシド「どうして一人で乗り込んでいった！！」
A「ひっ…」
被せ気味に怒鳴られ、あまりの剣幕に怯んでしまう。
助けを求めるように虎丸さんの方をちらりと見ると、虎丸さんも怒っているようだった。
虎丸「雷門対幻影の前半戦が終わってから何度も電話したんだけど通じなくて、急いで駆け付けたんだよ」
二人とも幻影戦の後半戦を投げ出してここまで来てくれたのか、二人の服装が仕事着であることに今更気付く。
イシド「確かに尾行を頼んだのは俺たちだ。だが、乗り込んだり敵と会ったりする危険ことは俺たちを頼ってほしかった」
確かに、明さんとそのボディーガードであろう男二人に見つかった時点で逃げ出そうと思えばできた。だがそうしなかったのは自分の勝手な判断だ。
今回はたまたま明さんを上手く説得できたからよかったが、下手をすれば捕まって、豪炎寺さんと虎丸さんに更に迷惑をかけていたかもしれない。
A「…すみません、お二人に迷惑をかける軽率な行為でした」
イシド「そうじゃない！！」
もう一度怒鳴られると、その声音とは真逆に、頭にやさしく手を置かれる。
イシド「俺たちはお前自身の心配をしろと言っているんだ」
虎丸「いきなり位置情報だけ送られてきたと思えば全ッ然連絡取れないし、俺も聖帝もAちゃんに何かあったんじゃないかってすごく心配したんだからね！！」
イシド「…俺は虎丸ほど騒いでいない」
虎丸「何言ってんですか！！幻影戦の後半観ずに先に会場飛び出していったのは豪炎寺さんの方ですからね！！」
A「…ふふっ」
突然笑い出した私を、何がおかしい？と言わんばかりに二人が見つめてくる。
豪炎寺さんも虎丸さんもこんなに心配してくれて、聖帝と側近っていう立場も忘れちゃうくらい怒ってくれて。
A「…すごく、うれしいです」
豪炎寺さんと虎丸さんが顔を見合わせて呆れたように笑う。
A「心配かけてすみませんでした。ここまで駆け付けてくれて、怒ってくれて、ありがとうございます」
イシド「俺の方こそ怒鳴ってすまない。…無事でよかった」
虎丸「さ！戻りましょ！廃校についてはやく動き始めないと！」
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作者名：master_2 | 作成日時：2023年3月19日 11時
