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カラフルな子供部屋。床には不恰好な折鶴が大量に散らかっている。そんな中、絵本から飛び出してきたような少女が可愛らしく声を張り上げた。
「きゃああああぁ助けてええぇ」
「いまいきます、フォルミール姫！」
「まあ頼もしい」
手を胸の前で組み、楽しそうに微笑む。シュピラルは風船で作った剣を構えてポーズをとった。
「僕達は敵対しあう国の王女王子。ある日、世界の中心といわれるオンキョウ国の仮面舞踏会に招かれた僕達は偶然出会い、禁断の恋に落ちた。しかし、両親は認めてくれない…。そんな時、姫が怪物ナオキにさらわれる。助けれるのは僕しかいない…！」
「どこのロミジュリだよ」
「しっ、黙んなさい、怪物ナオキめ！」
「....」
怪物ナオキと呼ばれた黒髪の青年はため息をつき小さい声で「…がおー」と言った。再びフォルミールが悲鳴をあげる。シュピラルはそれと同時に怪物ナオキに近づき、風船でペシペシと叩き始めた。
「えいえいえいえいえいい！」
「俺どんな反応すればいいの？」
「苦しみなさい！」
「....」
フォルミールに「苦しめ」と言われた青年は双子から目を逸らすと、再び小声で「…ぐわおー」と呟いた。それを見てシュピラルは満足気に微笑んだが、フォルミールは対照的に顔をしかめる。どうやらお気に召さなかったようだ。地面に座り拘束されているフリをしていた彼女はつかつかと怪物ナオキに歩み寄ると、思い切り脚を振り上げた。
「ぐわっ…」
喉の奥から潰れた声を出し、しゃがみこんで股間を押さえる青年。痛みに顔を歪めて頬をひくつかせた。そんな彼を尻目に、フォルミールは満面の笑みでシュピラルに駆け寄ると、抱きついた。
「姫！無事で良かった」
「ありがとう、王子！愛し」
「俺が無事じゃねぇ...」
フォルミールの言葉を遮るように掠れた声を漏らす青年。床に寝転がり背中を丸め、声を出すのもやっとのようだった。二人は手を繋いだまま同時に彼を見る。シュピラルが微かに笑みを浮かべて、優しく聞いた。
「痛いの？」
「…痛ぇよ…」
「なんかごめんねぇ」
「僕のせいじゃないもんねぇ。フォルミールがやったんだし」
「ぜってぇ腫れてる…まさか潰れ」
「ナオキ、おねぇちゃんに見てもらえばぁ？」
「出来るかよ...」
苦しそうに言うと、地面に這いつくばったまま部屋のドアを開け、廊下に出る。その姿を眺めながら、双子はニヤァっと嬉しそうに笑った。
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綾香 - めっちゃ面白いです！ (2015年1月13日 12時) (
レス) id: 4993db4a9e (このIDを非表示/違反報告)
乃森(プロフ) - 黒翼さん» こんにちは。わざわざコメントありがとうございます。励みになります！更新、頑張りますね！ (2015年1月3日 22時) (レス) id: 09edd095e8 (このIDを非表示/違反報告)
黒翼 - こんにちは！おもしろいです！マジでおもしろいです！これからも更新頑張ってくださいね！ (2014年12月31日 11時) (レス) id: a58796c65d (このIDを非表示/違反報告)
乃森(プロフ) - 樫月さん» はじめまして。面白いとのこと、ありがとうございます！本当に嬉しいです。最近はなかなか更新できなくて、申し訳ないです。ネタも溜まってきてるので、一月に入ったらまたぽちぽち更新開始したいと思っています。応援、励みになります！頑張りますね！ (2014年12月27日 0時) (レス) id: 09edd095e8 (このIDを非表示/違反報告)
樫月(プロフ) - はじめまして！凄く面白かったです！一話から一気に読み進めてしまいました。大変かと思いますが、応援しています。頑張って下さい！更新楽しみにしてます！ (2014年12月25日 0時) (レス) id: ef88a7389b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：乃森 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/setsunahp/
作成日時：2014年3月5日 11時
