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「A〜！」
「はい！」
なんて漫画みたいな展開を経て、私は間も無く19歳を迎える。生きてたのかよ、っていう突っ込みたいぐらいの展開だったけれど、実のところはちょっと違う。確かにあの日、私は死んだのだ。正しく言えば『あの世界の私』は死んだのだ。
「これ、お国様のところへ持って行っておくれ」
「えぇ…」
「そんな顔しないで。お国様も楽しみにしてくれてるんだから」
「…はぁい」
そう、私は、昔好き好んで読んでいた小説でもあった『トリップ』というものを身を以て経験した。幸か不幸か、この世界の私は名前も年齢も同じだった。違ったのはこの世界は戦争中で、私は戦争孤児という事だった。身寄りがないと知って、必死になって身寄りの場所を探してくれたのは、あの時、私を助けてくれたトントンさんだった。この国の幹部である彼と同じく幹部であるゾムさんにあの場所で見つけて貰えたのは本当にラッキーとしか言い様がない。どこからどう見ても戦争に巻き込まれた一般人。トリップして来た不審者とバレずに生き残れた。その上、働く先も紹介してくれてなんとか生きていけそうな気がした。住む場所も気遣ってくれては居たけれど、この世界に来て半年程経った頃に、歳も歳だから、と一人暮らしを始めたのだ。
「これまたすごい量の菓子パン…」
「くれぐれも書記長様に見つからないようにね」
「えぇ〜…そんなの無理ですよぉ…」
そうして彼に少紹介されたのは城下町の片隅にある少し古びた佇まいのパン屋だった。この店の主であるカミラさんは戦争で旦那さんと息子さんを亡くしたそうだ。昔からここの常連だったトントンさんや幹部の人達に「一人で寂しいのよ」とぽろりと零したところ、私を紹介されたらしい。有難い事に見事その場で採用。それ以来、カミラさんは私の事を本当の娘のように可愛がってくれている。この世界の私のお母さんだ。
(…もう、一年が経つのかぁ。)
相変わらずあちらの世界に帰る方法は分からないままだ。きっかけも原因も何も分からないし、何よりも調べる手立てすらない。まあ、帰ったところで私の居場所なんて無くなっているのかもしれないけれど、それでもやっぱり。
(ちょっと、帰りたい、なぁ…なんて)
思ったりして。
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nina(プロフ) - 霧雨さん» 霧雨さん、はじめまして！わー！コメントありがとうございます！まったり更新になりますが、どうぞこれからもお付き合いくださいませ〜！よろしくお願いいたします＾＾ (2019年3月2日 16時) (
レス) id: e40480d680 (このIDを非表示/違反報告)
霧雨(プロフ) - 初めまして！更新お疲れ様です。いつも楽しく拝見させて頂いてます！これからも更新頑張ってください！！ (2019年2月28日 23時) (レス) id: 0511448217 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：nina | 作成日時：2019年2月16日 23時
