理由 ページ29
ベッドの上に座るAは別人のようだ。ぽつり、ぽつりと話し始めた。
「オビさんにはもう昨日こと聞いているんですよね。
…何でこんなこと、したかって言うのは…まあ、自分が何者かを知りたくて、って言うべきなんですかね。
不思議には思ってたんですよねえ。オビさんも、気付きませんでしたか？私と戦ってる時とか、一番顕著なのは初めて会った時私にクナイ投げたし、突きつけましたよね。その時私、痛がってましたか？」
そう言われてオビはハッとする。足にクナイを投げ、確かに刺さったと思えるあの時、彼女はどうしていた？
____何もなかったかのように走り去って行かなかったか？
手でクナイを投げ捨てた時も、痛い、というよりは流れでる血に驚愕していた感じではなかったか？
「確認したかったんです、それを確信できるようなものもあったから。
……どうやら、私には痛覚が欠如しているようで」
その言葉に唖然とするゼンたちを見て諦めたように笑う。Aだって驚いてはいるが、確かにと思う場面も多くあった。オビに頭突きされた時だって、特訓で思いっきり脇腹を蹴られた時だって、驚いただけとかアドレナリンが大量に出ていたとかだけじゃ痛みを感じなかったなんて説明できない。
因みに肋骨が何本か折れている時もあった。何だか呼吸しにくいと思ったと思ったらそういう訳だった、医務室長は驚いていたがそれまで密かに何度も通っていたので、もう恐らくこの体に気付いてはいるだろう。
「それで、包丁を…」
「……でも、この前お前オビに転ばされて鼻強打してた時痛いって言ってたぞ、確かに」
「……それは、ほら、反射で痛いって言っちゃうじゃないですか。それに生きてる時だったら実際めっちゃ痛かっただろうし……。
……ちょっと待って今のなし」
沈黙が続いた。不意に口をついて出た言葉は彼らを驚かせ硬直させるのには十分なものだった。Aはその空気に耐えられなくなったのか、本当に昨日大出血したのかと疑う程の身のこなしでベッドから跳ね起き、ベッドのスプリングを利用してミツヒデの頭上を飛び越え逃げ出した。
オビ！と主に言われ意識を取り戻して追いかける。今の言葉はなんだ？生きてる時？その言い方はまるで、今死んでいると言っているみたいなものじゃないか。
微かに漂う血の香りを頼りに全速力で駆けると廊下で立ち止まる彼女を見つけるが、その姿に違和感を覚える。しかしそれが何なのかは分からなかった。
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紗夜(プロフ) - 何回も読んで、もう文章覚えてきたけど、大好き。 (2020年1月3日 1時) (
レス) id: 17bb863b6a (このIDを非表示/違反報告)
フルリ(プロフ) - Hinanoさん» こちらこそコメントありがとうございます！！！キュンキュンして頂けたでしょうか！？そう言って頂けて嬉しい限りです...ぜひとも続編もよろしくお願いします！ (2019年7月30日 13時) (レス) id: d10d29f4b8 (このIDを非表示/違反報告)
Hinano(プロフ) - 本当に本当に本当に素敵なお話でした…吹き出しちゃうくらい面白くて、でもきゅんきゅんして…素敵な時間をどうもありがとうございました！ (2018年6月25日 7時) (レス) id: 853b5b9878 (このIDを非表示/違反報告)
フルリ(プロフ) - ちぎょさん» ちぎょさん、コメントありがとうございます！割と本気で泣きそうになりました！笑私も赤髪のキャラ皆好きで、個性を大切にしたいと思っていたので、そう言って頂けて本当に嬉しいです。こちらこそ、沢山のお言葉にとても励まされました！リクエスト、待っています！笑 (2018年4月29日 19時) (レス) id: b6276197f5 (このIDを非表示/違反報告)
ちぎょ(プロフ) - すみませんふざけましたが本当に。直接伝えたいなあ、こんなに素晴らしいお話を書いてくれてありがとうございました！！続編のリクエスト、ちょっとじっくり考えます笑。長々とすみませんでした。 (2018年4月29日 13時) (レス) id: 2a62607b53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：フルリ | 作成日時：2018年4月16日 9時
