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『……おかえりなさい』
「笑顔」という表情を取り繕っていたために遅れた労いの言葉。永瀬はそんなAにほんの少し目を見開いた。
互いにそれを悟られぬよう努め、永瀬も彼女の模倣をして「笑顔」の仮面を被る。
『お客さんでも来ていたの?』
流し台に並んだ二つのコップに視線を送った永瀬。Aはマズイと感じてヒュッと息を飲むが、「アイスコーヒーとアイスティーの二杯を飲んだからだ」と誤魔化す。
彼はそれを信じるフリをし、二人は嘘に嘘を重ねていった。
『A、おいで』
まるで飼っている愛玩動物を呼ぶ甘い声。彼女はその声に誘われるように永瀬の元へ歩み寄る。近づいた彼女を彼は手繰り寄せて自分の腕に包み込んだ。
永瀬はAの首筋に手を添え、そこに短い口付けを落とす。薄紅色の所有印は、玉響に消える首輪。
彼女は飼い猫か、野良猫か。愛のある不自由と孤独の自由、Aがどちらを選ぶのか永瀬には分からない。
『……そうちゃん』
シャン、と隙間風に微かに揺れた鈴で永瀬を呼ぶAの声。その時彼は、彼女の首に自分が輪を巻いていたことを知る。
自由と不自由など表と裏に存在し、それは善と悪に似た二元論に過ぎないのだ。
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ハル(プロフ) - ナナさん» ありがとうございます!! 百年!笑笑 私死んじゃってますね笑笑 そう思うと半年ってあっという間ですね〜。半年後、ちょっとでも今より素敵になっていたら嬉しいです。またお会いしましょう! ありがとうございました!! (2017年12月22日 15時) (レス) id: 645308de9c (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ひなさん» ひなさん! ありがとうございます( ´ ∀`) 最後はちょっとばかり夢主をツンデレっぽくしちゃったので、どうかなー、と思っていたのですが感動的になっていたのなら嬉しいです! また半年後、ひなさんからのコメント待っててもいいですかね!? (2017年12月22日 15時) (レス) id: 645308de9c (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 銀皐月さん» ありがとー! 半年の前にスマホ買ったらおかえりも何もないんだけどね笑笑 でもここではお帰りになるのか! そしたらさっつんに言ってもらおうかな( ´ ∀`) 閲覧とコメントありがとうね。とても嬉しいです!!! (2017年12月22日 15時) (レス) id: 645308de9c (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - うぃーさん» ありがとうございます!! そのシーンを書きたいがために作った作品といっても過言ではないので、そのシーンが印象的に残ってくださることがとても嬉しいです!! 半年後、またこうしてお会いできることを心よりお待ちしております( ´ ∀`) (2017年12月22日 15時) (レス) id: 645308de9c (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ピピコさん» うわ〜私めっちゃ感情描写を書くのが苦手なんですよ( ; ; ) なのでそう言ってもらえると嬉しいです、ありがとうございます!! 半年後にまた会えると嬉しいです( ´ ∀`) 閲覧とコメントをありがとうございました!! (2017年12月22日 15時) (レス) id: 645308de9c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年11月14日 19時