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『なんで、結婚しちまうんだよ……』
情けない声を隠すために彼女の手をキツく握りしめた。ギリギリと蝕むそれは、彼女の艶やかな顔を歪めていく。
『どうして俺のことを待っていてくれなかったんですかィ』
『待つ? 待っていたら、そー……総悟は、来てくれた?』
「そーちゃん」と言いかけて慌てて変えた呼び方。「そうちゃん」と呼ばれていた永瀬の顔が脳裏をよぎり、俺は下唇を噛みしめる。その力が手にも伝わって、彼女は「痛い」と弱音を漏らした。
痛いのは、俺の心だ。
『後出しジャンケンみたいなこと言わないで。
総悟が私を見つける可能性なんてゼロだったかもしれない』
……あァ、そうだ。そんなこと分かっている。分かっているから悔しいのだ。
久しぶりに再会できた愛しい彼女が、どこの誰かも分からないような男と結婚するという事実を受け止めようとするだけでいっぱいいっぱいの俺は、「たられば」のことばかり頭に思い浮かぶ。
彼女が引っ越す前に好きだと伝えていたら。
永瀬より先に彼女を見つけていれば。
そんな、死んだ子の年を数えることしかできない。
『――さよなら三角、またきて四角。
私たちが、もう二度と会えなくなってしまう時に言う別れの言葉』
「よく覚えていたわね」と皮肉を込めた笑みを見せる。それはこっちの台詞だと強く言い返したくなったが、現状が更に悪化しそうで喉奥に飲み込んだ。
『それを先に忘れたのは、総悟だから』
そう言った彼女は立ち上がり、もう永瀬が帰ってくるかもしれないから早く帰れと、俺を追い出した。
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ハル(プロフ) - ナナさん» ありがとうございます!! 百年!笑笑 私死んじゃってますね笑笑 そう思うと半年ってあっという間ですね〜。半年後、ちょっとでも今より素敵になっていたら嬉しいです。またお会いしましょう! ありがとうございました!! (2017年12月22日 15時) (レス) id: 645308de9c (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ひなさん» ひなさん! ありがとうございます( ´ ∀`) 最後はちょっとばかり夢主をツンデレっぽくしちゃったので、どうかなー、と思っていたのですが感動的になっていたのなら嬉しいです! また半年後、ひなさんからのコメント待っててもいいですかね!? (2017年12月22日 15時) (レス) id: 645308de9c (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 銀皐月さん» ありがとー! 半年の前にスマホ買ったらおかえりも何もないんだけどね笑笑 でもここではお帰りになるのか! そしたらさっつんに言ってもらおうかな( ´ ∀`) 閲覧とコメントありがとうね。とても嬉しいです!!! (2017年12月22日 15時) (レス) id: 645308de9c (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - うぃーさん» ありがとうございます!! そのシーンを書きたいがために作った作品といっても過言ではないので、そのシーンが印象的に残ってくださることがとても嬉しいです!! 半年後、またこうしてお会いできることを心よりお待ちしております( ´ ∀`) (2017年12月22日 15時) (レス) id: 645308de9c (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ピピコさん» うわ〜私めっちゃ感情描写を書くのが苦手なんですよ( ; ; ) なのでそう言ってもらえると嬉しいです、ありがとうございます!! 半年後にまた会えると嬉しいです( ´ ∀`) 閲覧とコメントをありがとうございました!! (2017年12月22日 15時) (レス) id: 645308de9c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年11月14日 19時