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『……懐かしいね』
沖田総悟から離れ、男の持ち物である車に乗り込む。助手席でシートベルトを締めていれば、男は横目で彼女を見ながらエンジンをかけていた。
『意味のない昔の言葉遊びは僕も繰り返し言ってたよ。だから懐かしく思っちゃった』
『……そう』
男の視線から逃れて窓に頬杖をつく。そうしてゆっくりと流れていく景色を目に映して、聞こえないくらい小さな溜め息を呼吸に混ぜる。
しかし男にはバレており、緩やかなカーブでハンドルを切りながら男は「ねぇ」と彼女の思考と視線を奪った。
『さよなら三角……の続きってなんだっけ?』
「僕も思い出せないんだ」と苦笑を浮かべる。そうしてぶつぶつと、「さよなら三角……んんん?」と頭を捻っている男に、今度は聞かせるよう彼女は溜め息を吐く。
『またきて四角』
『そう! それ!』
思い出せたことにホッと安堵した表情を見せた男は、横に座っている彼女をルームミラーを直すフリをしてそこに映す。彼女は掌で唇を隠すように頬杖をついているが、その口元には力が入っていた。
焦燥を感じているようにも見える。しかし男には、彼女はもっと霧がかったわだかまりを感じていることを見抜いていた。
『教えてあげなきゃね』
『……誰に?』
『沖田総悟くんに』
はっと目と口を丸くしたA。彼女は自分はこの男に、彼が沖田総悟だということを話したのかを思い出す。
しかし問いただす前に男は小さく笑って、「今日はお蕎麦が食べたい」とカラリと笑った。
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ハル(プロフ) - ナナさん» ありがとうございます!! 百年!笑笑 私死んじゃってますね笑笑 そう思うと半年ってあっという間ですね〜。半年後、ちょっとでも今より素敵になっていたら嬉しいです。またお会いしましょう! ありがとうございました!! (2017年12月22日 15時) (レス) id: 645308de9c (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ひなさん» ひなさん! ありがとうございます( ´ ∀`) 最後はちょっとばかり夢主をツンデレっぽくしちゃったので、どうかなー、と思っていたのですが感動的になっていたのなら嬉しいです! また半年後、ひなさんからのコメント待っててもいいですかね!? (2017年12月22日 15時) (レス) id: 645308de9c (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 銀皐月さん» ありがとー! 半年の前にスマホ買ったらおかえりも何もないんだけどね笑笑 でもここではお帰りになるのか! そしたらさっつんに言ってもらおうかな( ´ ∀`) 閲覧とコメントありがとうね。とても嬉しいです!!! (2017年12月22日 15時) (レス) id: 645308de9c (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - うぃーさん» ありがとうございます!! そのシーンを書きたいがために作った作品といっても過言ではないので、そのシーンが印象的に残ってくださることがとても嬉しいです!! 半年後、またこうしてお会いできることを心よりお待ちしております( ´ ∀`) (2017年12月22日 15時) (レス) id: 645308de9c (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ピピコさん» うわ〜私めっちゃ感情描写を書くのが苦手なんですよ( ; ; ) なのでそう言ってもらえると嬉しいです、ありがとうございます!! 半年後にまた会えると嬉しいです( ´ ∀`) 閲覧とコメントをありがとうございました!! (2017年12月22日 15時) (レス) id: 645308de9c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年11月14日 19時