あぁ、その子には触れちゃ駄目。なんてったって…

再構築 ページ22

苦しい

しんどい



息をどうにかしながら目の前の光景をどうしようもない辛さに涙が出そうになる


中原幹部の頬に触れた百合華様は嬉しそうに笑っていた


「もしも何かが壊れて穴が空いた時、なおすためにはどうすればいいと思う？」


「……」

もう、声を出すのも苦しい

「簡単よ。そこにはまるものをいれればいい」


ふらついて膝をついた中原幹部から私に視線を向けて続ける

「中也さんが私に好きの気持ちがないのはよく考えればしょうがないことよ。だって政略結婚だもの。出会って好きになった訳じゃないわ。仕方が無いのよ」

「百合…華…」

「ならこうやって壊して、好きの気持ちで治せばいい。」


「ね、中也さん」

異能の光が再び中原幹部を包む

あぁ、いけない

でも、動けない


暁家の中でも百合華様の異能は別格だ

物を「直す」ことも
病気を「治す」ことも


それを利用して

人格も「治」せてしまう


全ては彼女の思うがままに


命を持たない無機物を直し

暁家にいらないものの記憶を治し



彼女の異能は【触れた対象を再構築する異能】だ



だから私はそれで盛られた




ごめんなさい、中原幹部
こういう時に、ちゃんと動ける部下だったなら
好意さえ、寄せなければ





あと、2回でいい

命が消えてもいいなら

異能、使えないだろうか…



もう、死んだっていいから。どうか、中原幹部だけは。

そう思いながら私はある人の部屋へとんだ









「ッ…」

「え…Aちゃん？」

「おさむ…さん…」

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