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ふいに腰を抱き寄せられて、心臓が音を立てて跳ねる。
唇から耳、首、胸元へ、だんだんと下りてくるから
体中が熱くなっていくのが自分でもわかる。
「待って、シャワー、浴びてないから…」
「ふふ、大丈夫だよ」
「でもっ…」
「Aの匂い、好き」
ワイシャツの中に大きくてゴツゴツとした手が忍び込む。
時折、彼の指輪が肌に触れてくすぐったい。
「Aっ…」
激しく、力強く突き上げるくせに、
優しい声と表情で見下ろしてくるのが愛おしい。
指を絡ませてくれるから、気持ちが抑えられなくなる。
長いこと彼氏がいなかったからじゃなくて、
たぶん、そういうことだ。
「樹っ、…すき」
彼が一瞬表情を歪ませたと同時に、
私も果てた。
翌日、気が付くと自分のベッドで寝ていた。
時計の針はもう昼を過ぎている。
いつ自室に戻ってきたのか分からないけど、
全身に残る怠さと重さが、昨日の出来事を物語っている。
寝起きのまま煙草を手に取ってベランダに出る。
火をつけて、ふと下を見ると
エントランス近くに引っ越し業者のトラックが横付けされていた。
「A、愛してるよ」
彼の声、樹の声で、その言葉が頭の中をよぎる。
それは私の妄想なのか、彼が昨晩言ってくれたのか分からないけど
ねえ、樹、もう一度だけ。
私の妄想じゃないなら、もう一度だけ言ってほしいな。
次の日も、その次の日も、
彼はベランダから顔を覗かせてくれなくて
やっと、あの引っ越し業者は彼が手配したんだと気づいた。
ふとテレビをつけると、“SixTONESデビュー”のテロップ。
そうか、彼は遠くに行ってしまったんだ。
いや、元々遠い存在だけど。
テレビの明かりだけが照らす暗い部屋で
ひとり、静かに泣きじゃくった。
缶コーヒーで乾杯
-fin.
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みんと - 返信遅くてごめんなさい。いいんですか！？ぜひお願いします！ (2020年12月5日 17時) (
レス) id: 117f5f4d5e (このIDを非表示/違反報告)
代(プロフ) - みんとさん» ありがたいお言葉…！リクエストに応えられるように、頑張ってみますね！！ (2020年11月14日 2時) (レス) id: 3ccff9efc5 (このIDを非表示/違反報告)
みんと - 返信ありがとうございます！(遅くなってごめんなさい)私こういう系のお話すごい好きで、もしよろしければ失恋した後のお話とかも読みたいです！(自分勝手にすみません) (2020年11月7日 18時) (レス) id: 117f5f4d5e (このIDを非表示/違反報告)
代(プロフ) - みんとさん» コメントありがとうございます！更新頻度遅めですが、頑張るので温かく見守っていただけると嬉しいです（；；） (2020年11月3日 23時) (レス) id: f187c48244 (このIDを非表示/違反報告)
みんと - 更新頑張ってください！ (2020年11月1日 18時) (レス) id: 117f5f4d5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：代 | 作成日時：2020年10月12日 4時
