甘い。塩っぱい。歌い手さん短編集

賭け事は慎重に(となりの坂田)甘 ページ9

賭け事は慎重に。という言葉を誰かが言った。
と「そんな言葉、知らんけどな！！」

野郎共の呻き声が辺りを包む。

と「しゃー！俺の勝ちやな！さぁ！掛け金全額俺にくれるよなぁ？」

全員悔しそうにチップを渡していく。この時間は、爽快だか、まだまだ足りない。足りやしない。

あの女に勝つまでは。

俺の仲間と一緒に戦い、窮地に立たされた。
あそこまで俺を奮い立たせた奴はいない。考えるだけで、ワクワクする。

買った爽快感で高揚感に浸るため、お酒を飲むことにし、バーテンダーが居る場へ足を向けた。

貴方side
今日も私の周りは平和そのものだ。ニコニコの顔で思わずグラスを磨く手が捗る。
平和が1番。大事だ。しかし、今日は四天王の1人となりの坂田様が御来場だ。
大丈夫……！！！私は所詮モブ。念願の暇を享受するしかない！

他のお客様の接客をしていたら、同僚から慌てた声で呼ばれた。

「ねぇ！あんた何したの！？」
バックヤードに連れていかれた。
A「え？ええ？」
「となりの坂田様からご指名よ！さっさと身なりを整えて！髪ちゃんと整えなさいよ！？」

髪を整えられ、バックヤードから追い出された。
さよならしばしのお別れだ。平和よ……

と「おお！君やな？バーテンダーさん！」

めっちゃ関西弁の人に話しかけられた。急いで、笑顔になり最敬礼をした。

A「いらっしゃいませ。当カジノ店にご来場ありがとうございます。何か御用でしょうか？」

と「カクテルの注文したいねん。カクテルって意味とかがあるんやろ？」

A「ええ。ございます。どのような思いをお伝えなさりたいのでしょうか？」

と「そうやなぁ……？今宵も貴方を思うっていうカクテル言葉があるやつないん？」

私はひとつのカクテルを思い出した。告白に良く使われるカクテルではないか。
より一層気を引き締めた。

A「分かりました。すぐにお持ち致します。」

礼をし、バーに戻る。
ウィスキーを出し、キンキンに冷やしたカクテルグラスを出す。
ウィスキーを適量入れる。小さじ二杯ぐらい。ミルクと生クリームを入れる。
混ぜて、真っ白い雪のようなカクテルの完成だ。
それを、トランプのKINGをあしらったコースターに置き、坂田様がお待ちのVIP席にお持ちする。


「坂田様。お持ちしました。カウボーイというカクテルでございます。」

驚いた顔された。

そのまま目を爛々と輝かせ、私の方を向いた。

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