先生！早く原稿上げて下さい！(土下座する勢い)

31、玉森くん ページ31

　
　
　
ハッキリ言って玉森くんが羨ましい。



ネタ起こしから始めて作品に仕上げるという作業が無いから、俺ほど先生に媚びる必要も無い。



玉「もうお風呂は上がって、お洋服着ましょうよ。

いつもみたいに、デスクの前に座ってるショット撮りますから。」



真「はーい」



こんなに素直な真ヶ谷先生、見た事無いんですけど〜



玉「お着替えとメイク直し終わりましたか。

すんごいカッコイイです、今月も！」



真「そぉお？

僕はモデルじゃないからねえ。

自信無い……」



パシャパシャとシャッター音が響く。



先生は自分では気付いてないだろうけど、自信無いって言った時の憂いを帯びた表情が絶妙で、クルーからもため息が漏れた。



カメラマンはやっぱりプロだ。



シャッターチャンスを逃さない。



そして玉森くんもプロ。



先生をアゲてアゲてサゲてアゲて、良い表情を引き出すんだから。



玉「じゃあもう一度衣装替えして、今度はソファーの方へ。」



真「はーい」



玉「もしもし、渉さん？

撮影にも使う差し入れの……はい、白いお皿に盛り付けて……はい、お花も。

宜しくお願いしますね。」



程無くしてドアが開き、渉さんがワゴンを押しながら入ってきた。



カラフルなキューブが盛られた白い皿が載っている。



それに白いティーカップとティーポットのセット、ドーム型に生けられた花。



撮影に使うのか。



渉「こちら、月刊Camelliaさんから差し入れて頂いたギモーヴです。」



真「綺麗！

ちゃんとお皿に盛り付けて照明当てたら、映える映える。」



先生が幸せそうに目を細めた。



玉「ローテーブルもビアンコ系のマーブルだから、イイ感じに白が勝った画になると思うんですよねー」



玉森くんはイチイチ言う事がオシャレ。



真「僕も白色が気に入って、『このコ』を買ったの。」



愛おしそうに「このコ」と呼び、テーブルを撫でた。



テーブルが煌めいて、傍にいる玉森くんはまた白い世界観に同化していく。



白王子と黒王子？



先生が風呂場で提案した玉森くんとの世界観は、確かに二次元的で腐ウケが良さそうだ。



腐っても漫画家だな。

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