84、フラッシュバック ページ36
香りを確かめるようにすんすんと息を吸い込みながら、藤ヶ谷の鼻先が耳朶から首筋、肩へと滑った。
K「あぅ……んっ……タイ……」
F「恥ずかしがんないで、思いっ切り喘いだらイイと思うんだ。
ずっと言ってるんだけど、伝わってない？
宏光の声が大好きだーって。」
必死で口を塞ごうとする俺の手を剥がして、藤ヶ谷は囁く。
歌声ならいくらでも、自信満々で聴かせらるんだけどなぁ。
でも今喉をついて出てくるのは、切羽詰まったような、切ないような、啜り泣くような……歌声とは程遠い物。
F「もっと聞きたいよ……」
俺の両手首は堅く掴まれ、頭上に縫い付けられ、俺の唇は丸腰になる。
K「ヤ……ヤメ……そんな……あああっ」
これじゃあクローゼットの中まで、何もかも確実に届いてしまう。
シクったな、やっぱり太輔を別室に置けば良かった。
俺が藤ヶ谷を「太輔」と呼ぶのも、喘ぎも吐息も、太輔に全て聞かれている。
でも俺は抑えられなかった。
藤ヶ谷の力は思いの外強く、完全に男のそれで、俺を捉える手枷はギャップのトラップ。
振り解こうとジタバタするほど、俺は高ぶる一方だ。
多分、太輔を別室に置いておいても、意味は無かったと思う。
どっちにしろ、太輔には全てが見えてるし聞こえてる。
K「あっ……ンン！」
『ハハ……やっぱりイイ声だ。』
太輔がこの家にやって来た夜と、あの夜の太輔の言葉が、フラッシュバックする。
太輔も俺の声を聴きたがって……
K「え……太輔……？
太輔……か？」
F「フフ、太輔だよ。
どうしたの？
今は『藤ヶ谷』じゃなくて『太輔』でしょ。」
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kyumapi(プロフ) - くらげさん» こんばんは！コメありがとうございます。創作した登場人物を愛して頂けるのって、書き手としてはとっても嬉しいんですよ。KさんとFさんに結ばれてほしくて、自分の気持ちにはフタをして身を引いたドールちゃん。切ないので何とか番外編でリカバー出来るよう頑張ります。 (2020年1月28日 22時) (
レス) id: 52d20d0833 (このIDを非表示/違反報告)
kyumapi(プロフ) - たいちゃんらぶさん» 北山さんは、太輔ドールがサイレントになってしまっても変わらずに好きでいるようです。藤ヶ谷さんからハムミツへの愛もまた、上向きで。F-sideのepilogue如何だったでしょうか。実は藤ヶ谷さんにはハムミツが指示出してたんだよっていうオチでした。 (2020年1月28日 22時) (レス) id: 52d20d0833 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - kyumapi様、初めまして！ドールちゃんがFさんとは別の人格でKさんのことを…と考えると切なさが爆発しました！ドールちゃん本当は話せるけど話さないなかな？と思ったりしてKさんの告白をどんな気持ちで聞いてるかしらと想像したり、とにかくドールちゃんが大好きです！ (2020年1月28日 2時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - そしてepilogueはそんな風に来るのかとウズウズしていたら･･何と藤ヶ谷さんsideでハムみつが出てきたー(≧∇≦)ハロウィンの歌番組でみっくんを見た時の藤ヶ谷さんがここで重なりましたね可愛いー(〃▽〃)ﾎﾟｯ (2020年1月27日 18時) (レス) id: 0f3cc9e55e (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - きゅ･･きゅまぴさんっ･･･(´；ω；`)ｳｩｩドールっぴにマフラーを巻き巻きするシーンは動悸がして苦しかったです･･でもっ･･ドールっぴは変わらずそこにいてくれる･･時々フジ子ちゃんの姿にもって言ってぐふふってなってるみったんに救われてる私ですw (2020年1月27日 18時) (レス) id: 0f3cc9e55e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kyumapi
| 作成日時：2020年1月6日 20時
