聖なる夜の、サイレントなキミへ。(前編)

26、ちょーーーっと待ったああああ！ ページ26

　
　
　
K「高えんだろ？

ちょっと考えるわ。」



M「お客様なら即金で買えそうですけどねえ。

◯◯◯◯めっちゃ売れてるじゃないですか。

曲も作ってらっしゃいますよね。

著作料も丸儲けでガッポリ。」



K「いやいやいやいや」



金は入るようになったけど、人形に注ぎ込む自分にドン引き。



M「この専用ショーケースも特別にお付けしますよ。

フジ子ちゃんに合わせた特注品です。

アクリルじゃなくてガラスで、スポットライト付きで値が張る物ですよー

勿論バイクもコミです。」



K「・・・・」



今度はオトコバージョンのままの「フジ子ちゃん」を、ショーケースのスポットライトの下に戻した。



思えば、これがプロのフィギュア屋のテクだったのかも。



オンナバージョンからオトコバージョンへのギャップを、どうぞ感じて下さい、と。



スポットライトの下の「フジ子ちゃん」は、もう「フジ子ちゃん」じゃなかった。



人間はギャップに弱い生き物だ。



藤ヶ谷には見下ろされるだけのはずが、ドールには見上げられて、その瞬間胸にズンと、楔が穿たれる。



藤ヶ谷……これは、藤ヶ谷だ……！



MカSPのセンステに、最後見た藤ヶ谷。



スポットライト浴びて、キラキラで……。



同じ目をしている。



M「まだネットショップには出してなかったんですが、新着商品のページに載せたら、即売れ確実でしょうねえ。

何しろ人気の……おっと、本名はナイショでした。」



何度目の「おっと」だよ、わざとだろ。



K「・・・・」



M「ではネットショップに出して宜しいですね？

そっちの方では、店頭よりももっと高値で掲載・・・」



K「ちょーーーっと待ったああああ！

やっぱ買う！

俺買います！！」

27、急ぎ足→←25、(仮)←の理由

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す