君ハ僕ナシデ……

7、断る。 ページ9

　
　
　
冷蔵庫へ行き、飲み物を物色。




K「お、○○あるじゃん。」




俺の好きな銘柄のビールだ。




さては……買い置きしてたな。




俺がいつ来てもイイように。




すげー素っ気無いフリして、鍵といい風呂といいビールといい、実は密かに俺をオモテナシにかかってるだろ？




缶ビールを二本持ってリビングへ行く。




藤ヶ谷の隣にズサッと座り、プシュッと缶を開け、グビグビと飲んだ。




K「プハアアアア！ うまっ

風呂上がりのビール最っ高だな。」




F「北山一人来ただけで、何だか賑やかだね。」




K「うるさかった？

でも、藤ヶ谷が好きにしてって言ったもん。」




あ……ちらっとこっち見た。




あまり温度の感じない目線だったけど、今夜初めて俺を見た。




シルクのパジャマの藤ヶ谷と対照的に、ゆるゆるトランクス一丁の俺。




俺は既に解放されてリラックスモードだ。




K「とりま一緒にビール飲もうぜ」




もう一本の缶を開けて差し出す。




F「ゴメン、要らない。

キリの良いトコまでセリフ入れときたい。」




藤ヶ谷はまた目を台本に戻してしまう。




K「ふーん、つまんねえの。」




二本目を開けてしまったが、まあイイ。




俺が頂くか。




こっちも半分ほど飲んだ。




でも炭酸で腹がパンパンになってきた。




K「じゃあ、一瞬だけ。

チューしよ？

一瞬でイイから。」




F「ゴメン、要らない。」




フン、キスもビールも同じ断り方かよ。




台本に嫉妬？




この片想い感？




俺も同じアイドルで歌い手で役者で、仕事の事は理解してるはずなのに、馬鹿みたい。




子供じみてる？




いやいや、違うんだ。




ただ早く藤ヶ谷を抱き締めたい、それが最終目的じゃなくて……




藤ヶ谷の気持ちが俺に向く事は、藤ヶ谷がドン底から上へと浮上していくという事。

8、思い出す。→←※作者より

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