キス待ちロイド

27、マイナスの距離です。　F　 ページ27

　
　
　
太「これは現地スタッフが撮ってくれたファイルだから、俺も映り込んでるんだよね。

凄いだろ、この360°の景色をバックに一周する俺。」



北『うほっ、絶景ナリ絶景ナリ。』



またリアクションがオッサン臭い。



太「次の休みはこのカメラ持って、どこか絶景スポットに遊びに行こう。」



北『サンセーイ♪』



北山くんが嬉しそうに抱きついてきた。



もう程良く温かい北山くんの身体。



改めて言おう。



太「ただいま。」



北『おかえり。

お疲れ様でした。』



太「映像、気に入ってくれたんだね。

忙しくてお土産何が良いか思い付かなくて、でも最後にカメラ買って良かった。

お土産買ってくるって出がけに約束したし。」



北『約束……？』



北山くんの胸がキュルっと鳴り、僅かの間固まった。



北『ヤクソク』



何でそのワードに殊更反応する？



数秒の後……



北『♪今夜こそ逃がさないよ』



ななな何だ何だ？



唐突に歌い出したぞ。



しかも無駄に歌上手い。



感心してると、北山くんは下から唇を押し付けてきて濃厚なキスを……。



太「んんー」



さすがのラブドール。



出張の疲れも時差ボケも飛んで、火が点いちゃうよ。



少し前まで俺達は大洋を挟んで離れていたのに、今は阻む距離さえ無い。



無いどころか、唇の距離はマイナスで。



太「あっ、ン……いきなり……そこ触る？」



北『ンフフ〜』



そこの距離も今すぐマイナスにしたくなるぅー



北『♪水を得た魚のよう』



太「『魚』言うなーーーっ！！」



また歌い出した。



さっきからオカシイぞ。



俺不在の間ハマりまくってたであろうダンシング・ホログラムやらと、関係がある？



後でタブレットをガサ入れしてやろう。



でもその前に……



北山くんとマイナスの距離を楽しもう。



全てを放り出し、北山くんの手を取って寝室へ駆け込んだ。

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