おとぎ話いじっちゃいました。【親指姫 〜激レアなマグヤマを探せ！〜】前編

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フ「いつまで夢の中？

目を開けてごらん。」



俺は、VIPルームの奥の革張りのソファに下ろされていた。



目を開けても夢の中だ。



フ「こっち向いて。」



アゴを摘ままれたのは今日2回目だ。



親指が俺の唇を這う。



それも2回目。



K「ん……っ」



親指王子？



違う……あの人とは全然違う！



目の前の人は黒髪の短髪だ。



襟足が綺麗にカットされている事は、さっき首に回した手が覚えている。



額までしか隠してない前髪、すぅーっと高い鼻梁。



唇はこの人もふっくらと魅力的ではあるけれど。



でもあの人とは別人だ。



そもそも、顔を思い出そうとしたって無理だった。



あの人の顔の大半は隠れていた。



幾分冷静を取り戻した俺は、さっきあの人に値踏みされたように、目の前の人の顔を値踏みし返している。



太客中の太客なのは、お出迎えの手厚さと緊張感で既に明らかだった。



キモオッサンでないのはもっと明らかだった。



ミヤタの言う通り、まんま王子様だ。



シ「綺麗なお兄様。

御指名下さって……ありがと。

一気に天国まで連れてきてもらったみたい。

ふわっふわするぅ〜」



フ「僕はフジガヤって言うんだ。」



知ってる。



さっきニカイドウとセンガがそう呼んでいた。



シ「ボクの記念すべき初めてのお客様。

宜しくお願いします。」



フ「こちらこそ。

僕も……いきなり恋に落ちたのは初めてだよ。」



セ「おお〜」



二「ヒューヒュー♪」



立ち上がってパチパチパチと手を叩く。



お前達はガヤ芸人か。



シ「嬉しいっ」



クシャクシャに笑った。



これは作り笑いじゃない。



フ「思った通りだ。

キミは突然現れたエンジェルだね。」



王子様に天使が舞い降りた夜？



二人は一目で惹かれ合って……？



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