おとぎ話いじっちゃいました。【親指姫 〜激レアなマグヤマを探せ！〜】前編

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「・・・・」



ヨ「……でね、源氏名の事だけど……

あれ？ ボクちゃん聞いてる？」



「あ……ゴメンなさい。」



ちょうど「緋色」時代の事を思い出してた。
　


若くて可愛いだけで全てOKだったあの頃。



可愛さを振り撒いていれば良かったから、その分頭は悪かった。



今度はもっと上手く立ち回るんだ。



でなきゃ、また一瞬でドン底に落ちる。



「源氏名……ですか？」



ヨ「こっち来て。

源氏名の入った宣材写真が、売り上げ順に張ってあるんだ。

参考に見てみて。」



かなり整然と名前が並んでる。



源氏名なんてどの店ももっととっ散らかってる感じだけど、ここは苗字に下の名前が付いていて、一見普通の「出席簿」だと言っても違和感無い。



今時の小学校の方が、怪しいキラキラネームだらけの出席簿に仕上がってんじゃね。



ヨ「ここでは『○○くん』って苗字で呼ぶお客が多いのよ。

だから、奇をてらった『レトリバーMAX☆翔』みたいなのはダメなんだ。」



「プフッ」



ヨ「でもこんな感じの源氏名のホストって、本当にいるからね。

最近はインパクト狙ってどんどん変な名前が増えてる。

ボクちゃんは、そうだな……。

因みに、前のお店では何て名乗ってたの？」



「赤の『緋色』と書いて『ヒロ』でした。」



ヨ「あーホストっぽいねえ。

何か参考になりそうなプロフィールも頂戴。」



「えっとお……このお店で参考になりそうなのは……

書道とサッカーが得意な事かな。」



ヨ「ふむ。

ちょっと相談してみる。」



って、誰に？



店長は携帯を取り出した。



ヨ「あ、モシモシ〜『お試し転入生』のボクちゃんの源氏名なんですけどね……。」



俺のゴッドファーザーは誰だ。



顔も見ないで決められちゃうのか。



ヨ「……ハイ、ハイ、左様でございますね。

確かにフットサルでもここでは難しいかと。

リフティング程度ですかねえ。

……書道ならOKでございますよ、勿論。

……ははあ、書道の『書』に……ホウホウこれまた直接的な……。」



えーちょっとちょっと、どんな名前付けてんのさ？

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