男のオレが傷口舐めて回復させる固有魔法なのおかしい。

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くそ、くそ。オレはやっぱり、どこまでいっても馬鹿きら抜け出せない。



「……やっぱり、何回見てもすごいよね。」

「…うぅはい、らあっおえ」


手の甲に這わせた舌をそのままに、オレはマッシュを見上げる。何言ってるかわからない言葉が出てくるが、それを気にするほどオレの中に余裕はない。
何言ってんのかわかんないなぁと、マッシュが溢すと、傷ついた箇所にまた一つ、淡く暖かい光が包み込む。


「……うん、よし、手は全部元に戻った。」



ぐい、と口元を拭い、木の根に座り込んでいたマッシュを見下ろす。
まだそこまで時間は経ってない。あのザリガニと遭遇したのは30分ちょいだったから……うん、まだ大丈夫。



「ねえ、なんでもう終わりにしようとしてんの」


ふう、と一息ついたオレに、不満げな声が突き刺さる。
じぃっとオレを見上げるマッシュの眼光は、逃げた瞬間にひっ捕えられる未来が安易に想像つく。
「いや、んー……」と口ごもるオレを見て、「あー」とわざとらしく大きく声を出す。


「顔が痛くなってきたなー、これ傷深いかもなー、あーあー、誰かさんを庇った傷のおかげで、ボクの神覚者への道は途絶えるんだなー、あーあっけないじんせ」

「ごめんごめんってすみませんでした！！」


あれ待ってマッシュってこんなキャラじゃねえよな！？

オレの脳内では、マッシュはこういう時そういうことあんましない主義の人だと思ってたんだけど、そうじゃないの！？可愛くてウブそうなマッシュはどこにいったの！？


「……じゃっ、じゃあ……失礼、します」


おずおずとしゃがみこみ、マッシュとの距離が近づく。
あーランスさんとは別のイケメンの顔面をお持ちのようでまったく腹立つ。そらレモンちゃんに好かれるよなーなんて思いながら、頬についた傷に口元を寄せ、舌を恐る恐る出す。



「_____おっと手が滑った」

「え、あっんむ、っ」



とんと後頭部を押され、驚く間も無く、マッシュの口横スレスレで、むちゅ、と唇がつく。



______は、え？いま、いま。今、オレなにした。





「〜〜〜〜〜ッッッ！！？？」




ーー
2024/03/03レイン誕生日おめでとう

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