#60 似た者同士の影と日向 2023/1/22投稿、2/21更新 ページ26
程なくして、全チームの指名が終了した。指名されなかったメンバーの中に影山優佳もいた。影山は、自分が指名されないことがわかっていたかのように、涙一つ見せずむしろ笑顔で、じっと目の前を見つめていた……
数時間後、大島は会場に戻っていた。それはドラフトに未練があったとかそういうわけじゃなく、忘れ物を取りに来たためだった。
会場に入った大島だがそこには一人、ポツンと、元いた席に影山が座っていた。何か、大島は引き寄せられるように影山のところに向かっていた。
大島「こんにちは」
影山「えっ?」
まさか人が、ましてやメンバーが来るなんて思ってなかっただろう。かなり驚いた様子だった。
大島「今日はごめんね、選んであげられなくて」
影山「いえ、なんとなくわかってたので……」
大島「……そっか、」
影山「ずっと後ろの方で、期待されてないなって…」
大島「……私はね。影山優佳が必要だって思ってたし、何なら今も思ってるよ?」
影山「そしたら…」
大島「私一人じゃ、どうにもならなかった、、歌もダンスも良くて更に頭も良くて。エースクラスにだってなれるなって思ってたけど…」
影山「大島さんっ…ぅ…」
当時中学2年生の影山にとって、つらいことであることは間違ってないし、涙を我慢してたのはわかっていた。
大島「影山ちゃん?一つ、約束しよう?」
影山「な…何ですか?」
大島「影山ちゃんと私で一緒にテレビ出て活躍するって」
影山「でも…」
大島「影山ちゃんなら絶対できるから」
影山「…はいっ」
★★★★☆☆☆☆☆☆☆☆★★★★☆★☆☆☆
大島「あんなボロボロ泣いちゃってた影ちゃんが今や売れっ子だもんね……」
影山「もう……とんでもないです。あの……私、実はもうすぐ卒業するんです」
大島「あぁ…そっかぁ」
影山「朱乃さんとの約束も果たせたし…もういいかなって」
大島「…そっかぁ……影のことを見送るのかぁ」
影山「ごめんなさい、朱乃さんを見送ってからって…」
大島「いいの、謝らなくて。私もここまで続けてられると思ってなかったし…影、よく頑張ったね」
影山「朱乃さぁん……」
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作者名:柊哉 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Toya20001/
作成日時:2022年5月18日 10時