43.(宏光side) ページ43
母さんが俺の治療中に勝手に結婚話を進めたせいで…
それに気を良くした太輔は、俺が退院した翌日に、大きな荷物を持ってこの部屋にやってきた
「え…もう…?」
「当たり前でしょ。宏光の事、ちゃんと守らなきゃいけないもん。」
…言葉とは裏腹に、顔、ニヤけまくってるけど
週の半分をここで過ごしてる太輔だから、ほとんどのものは揃ってる
「…何持って来たの?」
「何って…俺の部屋にあるもの、少しずつ移動させようと思ってさ。」
「え…。マジでこっちに引っ越すつもり?」
「そうだよ。明日あっちのアパート解約して来るから。」
「はぁ!?」
「浮いた家賃貯まったら、2人で住む部屋、探しに行こ−ね−♪」
「マジかよ…」
なんかどんどん話進んでっけど…
躊躇っていたら、太輔からどんどん笑顔が消えていく
「もう、さっきから何なの?俺と一緒に住むの嫌なの!?」
「いや、そう言う訳じゃなくて…」
「お母さんと話進めた事、まだ怒ってる?」
勢いよく捲し立てて来たかと思ったら、今度は泣きそうな顔…
なんだよ、情緒不安定かよ!
「怒ってない。一緒に住めること、素直に嬉しいよ。でも…」
「でも?」
「太輔の親御さんは…俺と住む事、許してくれてるのか?」
「…」
黙り込んだところを見ると、まだなんだろう
子供みたいに拗ねる太輔の手をそっと包んだ
「お前は、藤ヶ谷家の長男で、大事な跡取りだろ。俺みたいな中途半端な人間と一緒になる事は、藤ヶ谷家にとって、決して望まれる事じゃないだろ…」
「自分の事、そんな風に言うな!」
「事実だよっ!…お前の未来を…お前の大事な家族を傷付けてしまうかもしれない事実だ。」
卑屈になってる訳じゃない
これが、俺の現実…
「お前には幸せになって欲しい。家族の大切さを知ってる俺だから…太輔には家族を大切にして欲しい。俺も…太輔の家族が…大切だからさ。」
俺の事で、太輔には苦しんで欲しくない
だから…もし太輔との別れを選択する事になったとしても、俺は受け入れるつもり…
「分かった。」
俺の言葉を黙って聞いていた太輔は、ただ一言そう呟いて…後は何も言わなかった
そして…その日から太輔は家を空ける事が多くなった
「これじゃ、前と変わんないじゃん…」
寂しさを感じている俺には、太輔の決意はまだ…伝わっていなかった
.
816人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:MISA | 作成日時:2016年6月29日 21時