【すとぷり】その涙を僕の肩に落としてよ

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るぅとside


はぁ


また



今年も


合唱会の伴奏に選ばれてしまった


この学校は課題曲と自由曲の2曲を歌って競争するから

1曲に1人ずつ伴奏者と指揮者が必要になる

課題曲は学級委員の伊藤さんが引き受けてくれたけど

自由曲決めるぞってなった時誰も手を挙げなくて

そう言えば苺谷くんって去年伴奏者だったよね？



って隣にいた女子に言われてしまった

結局伴奏者


弾けないこともないんだけど


あんまり目立ったことはしたくない

さっきまで音楽室で練習をしていた

もうこの後は教室に楽譜を置いて帰るだけ




誰もいないと思っていた教室に、伊藤さんがいた


る「え、あ、…伊藤さん？」

何してるんだろう


呼びかけるとびくっとしていた


『…どうしたの？』

こっちを向かないでプリントをまとめてる

る「えっと、楽譜を置きに来ただけです….」

僕は伊藤さんの斜め前の席だから

伊藤さんの真横を通らなきゃいけない


いざ通ると、伊藤さんは下を向いた


どうしたんだろう


る「えっと、大丈夫？」

『大丈夫だから。ほら、帰るんでしょ？』

る「え、あ、うん」

でもやっぱり何か引っかかる

なんで下を向いてるの？

る「あっ」

しまった


プリントぶちまけちゃった

僕は慌てて床に落ちたプリントを集める

『…』

伊藤さんも床のプリントを拾っている

少しだけ


彼女の顔を見た


そこには、うっすら泣いた跡

る「え、泣いてる」

ついうっかり言ってしまった

『見ないで！』

彼女の真っ直ぐ通った声


ううん


違う


この時の彼女は、どこか弱った声だった

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