【すとぷり】その愛で私を抱きしめてみて (ページ27)

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『あ、もうお布団敷いてくれてる』

多分ご飯食べていた時ぐらいかな

いつでも寝れる状態

こ「A。寝る前に行きたいところあるんだけど」

『行きたいところ？』

手を引かれて、旅館の外に出る

しばらく歩くと、辺りは真っ暗で

もうろんの姿はあまり見えない

繋いでいる手を頼りに、ついて行っているだけ

こ「ほら、上見て」

『上？』

言われた通りに上をむく

『…きれい』

満天の星空が、私の目には映っていた

こ「調べたらここら辺、星が凄く綺麗に見えるんだって。」

『そうなんだ…』

この後、宿に戻ったら

寝てしまう

この楽しい一日が終わっちゃう

こ「…A？」

『ごめん。寂しくなっちゃって』

ろんに思わず抱きついてしまう

こ「たくさん手紙出すから。住所知りたいから先に送ってきてよ？」

『うん。絶対に送る。しつこいぐらい送っちゃう』

こ「…好きだよ」

『私も好き』

満天の星空の下で、私たちは抱き合った

たくさんの愛で抱きしめた

お母さん、できたよ

この愛で、ろんを抱きしめることができた

こ「よし、宿に戻ろう」

『うん』

大丈夫

不思議と不安なんて吹き飛んでしまう

こ「じゃあ、僕はあのイスで寝るから」

部屋に入って言われた

『えっ？お布団二人分ちゃんとあるよ？』

わざわざイスで寝なくてもいいのに

『体痛くなっちゃうよ』

近くに寄ると、ろんは顔を少し赤くした

こ「あのね、ただでさえ同じ部屋で精一杯なのに隣で寝るとか理性持たないって….」

そう言われてようやく事の理解をした私まで恥ずかしくなってしまう

『ごめん…』

こ「別に謝らなくていいよ。僕が勝手に思ってるだけだからさ」

『…あのね、嬉しいっちゃ嬉しいんだよ。そう思ってくれてるの』

こ「えっ」

ろんはろんなりに我慢してくれてたんだ

『…でもね、もしもだけど。ろんがめちゃくちゃ好きって人に出会っちゃったら、そういう事をしちゃうとろん自身が縛られちゃうでしょう？』

こ「そんなことないと思うけどな。…さっきも言ったけど僕はこの先A以上の女の子には会えないと思う」

この先、私以上の女の子には会えない

っていう魔法の言葉が、私に安心感を持たせてくれた。

『…当たり前だけどはじめてなの。優しくしてね』

こ「いいの？…無理だったら無理って言っていいんだからね」

『いいの。私とろんなら大丈夫だって、思えたから』