22話 ページ23
マ「食べないの?」
A「ええそうね、あまり食欲がわかないの。」
マ「もしかして、朝はあまり食べない派?」
コクリとその言葉に頷いた。まあ、朝に限った事では無いけど。バタバタしていたら、ご飯を抜くこともしょっちゅうだし。
マ「それは良くない!食べないと!」
ずいっと突き出してくるワッフルのひと切れをマーク・トウェインに押しかえす。
A「あなたが食べなさいよ。私、本当にいらないんだから。」
モグモグするトウェインを眺めながら、思考をめぐらす。さっき、最後の食事って言ったわよね。まさか、白鯨をヨコハマに墜落させる気かも?
対策していたプランのうちのひとつが頭に浮かぶ。Qを太宰と中也に奪還され、ギルドの構成員も大量に傷を負った。これ以上、自分の所有物が傷つけられることを好む人はいない。ましてや、あのフランシスがね。
そういえば、さっきから外が静かね。いつもなら、英語で溢れかえっているのに。
ああ、それが繋がるのか。白鯨を落とすから先に構成員を退避させる。被害が出ないように。
許せない、白鯨を落としてしまえば、どれほどの被害がヨコハマに出るか想像なんて簡単につく。
ギロリ、マーク・トウェインを睨むと、肩を派手に揺らした。なんの罪もない民間人がかつてないほど沢山死ぬ。気づいてしまった今、怒りが抑えきれない。紅茶のカップに手を添える。
マ「え、なになに?やっぱ、食べたくなった?」
睨まれたことに肩を揺らしたマーク・トウェイン。だけど、私がカップに手を添えた瞬間、その目が怪しく光った。
A「いらないって言ってるじゃない。っていうか、誰かを待たせてるんじゃないの?」
マ「・・・待たせてるって、誰を?」
分かりやすく、マーク・トウェインの顔色が悪くなる。やっぱり、大当たり。フランシスは、あの場で私を殺さなかった。生け捕りにするより、遥かに簡単な事だったのに。私にはある程度の利用価値があると判断したから。
利用価値があるものをみすみす捨てるわけが無い。私を白鯨から下ろし、安全な地上にあるギルドの拠点へ移動させる。これがマーク・トウェインの任務。
A「私を眠らせたかったのかしら?この紅茶で。」
私はすっかり冷えた紅茶の入ったカップを持ち、マーク・トウェインにぶちまけた。
マ「うげ、何するの!冷たいんだけど!」
プクッと頬を膨らませ怒る。
A「冷めてるのを待ってあげたんだけど。熱い方がよかったかしら?」
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桃桜月(プロフ) - 椿姫さん» そう言って下さって嬉しいです。なかなか勉強し続ける事って難しいですよね。私も受験が近いので、やる気がなくなったら、椿姫様の事を思い出して、後悔の無いように勉強を頑張りたいと思います。 (10月3日 20時) (レス) id: 8c24d7f3c9 (このIDを非表示/違反報告)
椿姫 - 何度読んでも限りなく涙があふれてきます。私は今年受験生なので後悔しないよう、最善を尽くすつもりです。やる気がなくなったら少しだけまた読みに来ます。素敵な物語を、ありがとうございました (10月3日 0時) (レス) @page38 id: 910387af12 (このIDを非表示/違反報告)
桃桜月(プロフ) - 華凪さん» 信じて下さって、楽しみにしてくださって、ありがとうございました! (6月7日 6時) (レス) id: 8c24d7f3c9 (このIDを非表示/違反報告)
桃桜月(プロフ) - 咲花さん» 3年なんて長い間、つきあってくださってありがとうございました! (6月7日 6時) (レス) id: 8c24d7f3c9 (このIDを非表示/違反報告)
華凪(プロフ) - 完結おめでとうございます!!いくら時間がかかろうと、主さんは必ず更新して下さると信じて、日々更新を楽しみにしておりました!最後までこの作品を見届けることができて嬉しいです!お疲れ様でした!! (5月9日 6時) (レス) @page38 id: a45e30bab6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桃桜月 | 作成日時:2022年8月21日 17時