ありがちなトリップをしてしまった！3

丁か半か ページ13

阿呆提督のその言葉に、またいつもの
黒い笑顔を浮かべて、神威は部屋を出て
いった。

俺を呼び出すための呼び鈴をテーブルへ
置いたまま。

自分が罠にかけられることを知ってい
たのだろうか。それとも唯忘れたのか。

(呆)「如月。貴様、今日で神威の世話係
　 を辞めろ。奴は死ぬ。もう必要あ
　 るまい。」

やっぱりな。

(呆)「その代わり、先程神威に話した男
　 、高杉晋助という男を何としても
　 春雨に引き入れたい。今日から奴
　 の動向を探れ。貴様が既に奴と
　 関わっているのは知っている。
　 奴に取り入る為だろう？そのまま
　 続けろ。今高杉晋助は、ここにい
　 る。」

そう言って見せられたのは艦内の地図
だった。空中に投影されている。
入り組み過ぎてて全然分かんねー。

(呆)「これを持っていけ。これを
　 使うと何処でも、この艦内の地図
　 が表示される。現在地と一緒に
　 な。役に立つだろう。」

渡されたのは腕時計型の機械。つーか、
完全に勘違いされてんな。こいつ、何で
も人が自分のために動いてると思ってや
がる。地球に行く為とはいえ、腹立つ
な。つーか晋助に関わってたのしられ
てる！何故！

(貴)「了解致しました。」

あせりを笑顔で必死に誤魔化して、
ニヤリと笑っている阿呆提督を横目に
部屋を出た。

緊張がとけて、どっと疲れに襲われた。
それと同時に絶望感や混乱もどっと
襲ってきた。
この後、神威は晋助を殺しに行って
その場で罠に嵌められて、牢屋の中。

俺はどうすればいいんだ！原作通りに
すれば良いのか！？このまま何もせず
大人しくしてろと！？

ダメだ、落ち着け、落ち着くんだ俺。
鮭の産卵を思い出しながら素数を数え
るんだ。

まず、状況を整理するんだ。神威は牢屋
に入り、処刑される。だが、そこで晋助
が神威を助けて、大争い。
これが原作のストーリー、の筈だ。

そこで俺が選ぶべき選択肢は、阿呆を
守るか晋助と神威に味方するか。

決まってるよね、これ。どっちにしろ
阿呆は神威にやられて、春雨は神威が
牛耳ることになる。だったら神威達に
味方するしかない訳だ。
よし！決まった。俺は神威と晋助に味方
する。それまで、阿呆に気づかれないよ
うにしなきゃあならない。完璧に演技し
いとな。

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