ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 外伝

Side東方仗助 ページ12

校舎裏から体育館の方へぐるりと周り
最近出来た倉庫のあたりを差し掛かっ
た時、ある匂いが俺の鼻を掠めた。

生臭くて、金気臭い、血の匂い。

康一と億泰も気づいたらしく、その場
でピタリと足を止めた。

気のせいなんかじゃない。スタンド使
いとして戦ってきた俺達だから分かる
匂い。

匂いがするのは倉庫の方からだ。恐ら
く中からだろう。

クレイジー・ダイヤモンドを発現させ
て、康一と億泰にアイコンタクトを送
る。2人とも大きく頷いて自身のスタン
ドを発現させ、臨戦態勢に入る。

足音を殺して、倉庫の入口に近寄る。
この倉庫は、最近出来たもので文化祭
や体育祭で使うものが中に入ってるは
ずだ。最近生徒数も増えた為、今まで
の倉庫じゃ収まり切らず作られたとの
話だ。

中から、数人の呻き声が聞こえる。

「だ、誰か、だ、だずげで……」

「ご、ごろざれる……」

この血の匂い、かなり出血してる。
誰か怪我をしてるって事だ、かなり
の重症。警戒してこっそり入るつもり
だったが、そんな事をやってる暇はな
さそうだ。

(仗)「億泰！康一！入るぞ！」

扉を開け、中へ入る。

中は薄暗く、余り見えなかったが誰か
が床に倒れているのが分かった、5人。

慌てて近寄り、怪我の具合を確かめ
る。

(康)「ひっ！」

康一が声を上げた。床に倒れているの
はうちの学校の制服をきてて、恐らく
上級生だ。そして、その体はあちこち
がおかしな方向へ曲がっていて、顔は
鈍器で殴られた様にぐちゃぐちゃで最
早原型を留めていない。

(億)「な、なんじゃあこりゃ！ひで
　 ぇ！」

思わず吐きそうになる。

早くクレイジー・ダイヤモンドで治し
てやらねぇと！そう思い、手を伸ばし
た時、奥の方から泣き声が聞こえた。

女の啜り泣く声。

慌ててそっちへ目を向けると、そこに
は制服を半分脱がされて、倉庫の中に
あったであろう防災用の毛布を肩にか
け震えている女子生徒がいた。
そしてその少し横の木箱にどかりと座
って、無表情で煙草をふかしている、
アイツ。体中血塗れだ。

(仗)「なっ！大丈夫か！？」

慌てて近寄ると、脅えたようにひっと
声を上げる女子生徒。

(仗)「オイ、何もしねぇから！大丈夫
　 だ！」

そう声を掛けると、俺の姿を捉えて
ガタガタと震えていた女子生徒の体
から、ふっと力が抜ける。よく見る
と同じクラスの女子だ。

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