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「看守生」、絵心に言われた俺の役割。理解が追い付かず、思わずフリーズしてしまう。
『かんしゅせい......？ 』
「ああ。お前は選手としてではなく、コーチ陣の人間としてスカウトしたんだ。」
絵心甚八は不気味に笑いながら、隣の女の人は汗を浮かべながらうずうずと、何か言いたそうな表情で俺と絵心甚八を見比べている。
「蒼指A、俺はお前の才能を買っている。このプロジェクトに参加しろ」
『嫌です』
なんだこの上から目線、ムカつくし。
「......は？」
『嫌です』
「待、A、そんなきっぱり......ちょっと、こっち来て！」
ちょっと怒り気味の絵心甚八を横目に、
兄ちゃんにグイグイ引っ張られて耳打ちで説得される。
影響されやすい兄ちゃんのことだ。きっと絵心甚八の演説が上手いこと胸に刺さって感銘を受けたのだろう。
「な？A、俺はお前にこういう経験をしてほしいんだよ、な？ほら、電車代も無駄になんじゃん」
『嫌だよ。連れてってって言ったのは俺だけどさぁ......』
まずい、お金の話を持ち出されたらつられてしまう。兄ちゃんにとってのお金の価値観を、一番理解しているのは俺だから。詳細は知らないが、兄ちゃんには一円たりとも無駄にできない理由があるのだ。
『そ、その辺のおしゃれなカフェにでも入って元取ろうよ』
「その辺って......ウチの街の方がいっぱいカフェあんじゃん、元取れねーよ」
そりゃそうだ、こんなビル街でカフェを見つけるのは至難の業だ。あってスタバだろう。
ましてや俺たちが好むようなこじんまりしたカフェなんて、実在するかさえ怪しい。
『だ、第一母さんと父さんが許すはずないでしょ！学校とか、どうすんの！』
勉強も......たいして好いて好きじゃないけど、義務教育の範囲でもあるし......。
「母さんと父さんには俺が説明する！な、だからお前は行け！」
そんなに頼まれたら、俺は断れない。兄ちゃんはきっとそれをわかっている。
俺もそれをわかったうえで断れないんだけど......。
「A！......俺の夢でもあるんだぜ？頼まれてくれよ」
『......ずるいよ兄ちゃん』
なんかこんな時に目が熱い。スンと鼻をすすって絵心甚八に向き直る。
『俺も、やります......ブルーロックプロジェクト』
絵心甚八の、あげられた口角に鳥肌が立つ。
「ようこそ蒼指A、青い監獄へ」
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作者名：とうしろ | 作成日時：2022年9月4日 1時
