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『うあーっっ』
タクシーを降りて大きく伸びをする、さすがに疲れた...。
『絵心のばか......』屈伸をしながら小さく呟いた。
「誰が馬鹿だと?」『いて』
後ろから頭を叩かれた。その声にドキッとする。
「やあやあ。お疲れ、蒼指A」
『え、絵心......!』
カップ焼きそば食べてる......自由すぎる。
『..あのさ絵心』
「あ?」
考えていた言葉は、喉元まで出ているのに、声にならない。
俺の理性が、俺を縛る。
『....なんでもない!』
あぁ、いつもこうなんだ。
僕の体は、俺の気持ちと真逆の行動をする。
僕の顔は、苦しい時ほど穏やかな笑みを作る。
「なんだお前」
訝しげな絵心に、俺は黙ってついていく。
あぁ、生きづらい。
「......オツカレサマデス」
『え...』
突然、絵心に頭をぐしゃぐしゃと撫でられる。
なんか、動きが硬い。
『絵心......』
『なーに照れてんの?』
「......!」
『嫌だなぁ、何を考えているんだか』
絵心の動きはピタッと止んだ。あは、耳が赤い。
『なんとか言いなよ、ねぇ?』
「クソ、生意気なガキだな...」
『兄ちゃんにもよく言われる』
分かってるよ、絵心。
日々の練習メニューなんかから、絵心の性格は読み取れる。
気づいてくれたんだよね、俺の奥の方。
......ごめんね、素直じゃなくて。気まずくなるのは嫌なんだ。
でもさ、ありがとう。
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潔side
ブルーロックに来てしばらく経った日のこと。
食堂のモニターで、ブルーロックに関する記者会見の映像が流された。
「あ、天使くんじゃん」
「うぉ蜂楽、ビックリしたぞ...」
「これ、ブルーロックの説明会って......結構前のだね」
「え?あぁ、もうブルーロックに来てだいぶ経つしな......」
「で、”天使くん”って?」
「あーこの子。なんか白いし目ぇ綺麗だし、天使みたいじゃん」
「ふーん、まぁ確かに...」
その”天使くん”が、絵心に変わって、記者たちの質問に答えている。
雑用係って言われてたけど、こんなこともすんのか......大変そうだな。
なんて考えていると、チームZの奴らが集まってきた。
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作者名:とうしろ | 作成日時:2022年9月4日 1時