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「...___という風に優秀な高校生300人を集めまして、日本をW杯優勝に導くためのストライカーを育成しようというのがこの__“青い監獄プロジェクト”でございます」
『すいません遅れましたぁ......』
きっと誰にも聞こえないであろう小さな声で謝罪を述べ、アンリちゃんの隣、自分の名前が書かれた席にそそくさと座る。
「!Aくん」
『すいません......』
「大丈夫、絵心さんから聞いてるよ」
『ありがとうございます......』
アンリちゃん、めっっっちゃ優しい。
記者たちはじろりと俺の方を見て、興味をそそられなかったのか、質問に移った。
...失礼では?
「確かに革新的なプロジェクトだとは思いますが、高校生活をなげうってまでやるべきことでしょうか?」
「そーだー」
「仮に世界一のストライカーがたった一人生まれたところで日本がW杯で優勝できるという保証は?」
「1人のために299人の人生を台無しにしても構わないと言ってる様に聞こえるんですが、反対する親はいないんですか!?」
「いや...まぁ一応本人たちの意志を尊重しておりますし...親御さんにも書面でサインはいただいておりますので...」
おじさん、弱ぁ...
「人生が台無し...?その通りです!!」
『っ』
「日本サッカーが次に進むためにはこのイカれたプロジェクトが必要なんです!」
びっくりした......
「おいおいなんだアイツ...」
「イカれてんのはお前らだろ...」
「アンリちゃん...?」
罵声は聞こえているはず。なのに、
「...見てみたくないんですか?日本サッカー界に英雄が誕生する瞬間を」
「日本サッカーはこの四半世紀で驚異的なスピードで進化を重ねてきました」
「優勝候補ベルギーを追い詰めた2018年、本当に惜しかった。悔しかった。“あと一歩”で世界のトップレベルと肩を並べられた...日本サッカーは本当に強くなった」
「でもその“あと一歩”先へ行くために、日本サッカーは今こそ死ぬべきです」
「今こそ日本サッカーは新しい夢を見る瞬間です!」
『カッコよ...』
「新しい夢を見る勇気はありますか?全ては_____」
ブルーロック
“青い監獄”にある!!!!
「会見は以上です」
『え、あ、アンリちゃん!』
前々から思ってたけど、アンリちゃんは本当にサッカーが好きなんだな。
そして、好きなことに本気になれる。
..俺は?
俺はこんな生半可な気持ちで、ここにいてもいいんだろうか___...?
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作者名:とうしろ | 作成日時:2022年9月4日 1時