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第十九訓 ページ21

俺が走り出そうとしたとき、

近藤さんが片手で止めた。



「お前はここにいろ。」



なんでですかィ。


「・・・側にいてやれ。
Aちゃんだったら俺がつれ戻して来るさ。

それに...

今のお前では足手まといだ。

剣に迷いのあるやつは死ぬ。」



迷ってなんか....いない



「俺達を信じろってかィ、冗談じゃねェ。

俺は奴に貸しつくるのだきゃあ御免こうむるぜ。」


近藤さんは誤解している。



俺は別にきれいじゃない。


人を信じるとか、そーゆー奴じゃねーんだ。





「てめーの事しか考えちゃいねェ。」



___そうだ、本当は姉上のためなんかじゃなかった。


自分のためだった。



「だからいつも、
アンタたちと一緒にいて溝を感じてた」



姉上とだって。




「俺とアンタらとは違うって。

だから姉上もアンタもアイツのところに。」



姉さんまで、




ドカァァン





近藤さんに、殴られた。





もう無理なのかなァ____




「てめーが勝手に掘ったちっせェ溝なんて
俺達は知らねーよ。

何度でも飛び越えてって

何度だっててめーをブン殴りに行ってやる。」






____あぁ。



「そんな連中、長ェ人生でも

そうそう会えるもんじゃねーんだよ。


俺達幸せもんだぜ

そんな悪友を人生で二人も得たんだ。」




 




苦しかった、俺を絞めていたものが



なくなったみてェだ。




近藤さんは行っちまった。




野郎の所に。





「惚れてたんですよ。


冷たく突っぱねられながら

それでもずっと


野郎の帰りを待ってた。



 
___ずっと。」
 

姉さんは。









敵が多い。


斬っても斬っても、


加減が難しくなってきた。



「くっ」




土方が脚をやられた。



「おいっ」



「大丈夫だ。」



どこが、そういいながら

さらに敵を倒す。




「囲まれた。」




どうする?




でも、今言いたいことがある。




あの人は吹っ切ったように見えたけど



本当はずっとお前を思っていたんだ。




お前の帰りを待っていたんだ。




冷たく突っぱねられながら



それでもずっと









____ずっと。





だから、



「絶対に帰るぞ、土方。

お前を待ってる人がいる。」




きっと姉様は幸せになれる。


 




______土方の顔は、





見えなかった。

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作者名:七竈 | 作成日時:2015年12月10日 23時

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