続弐 ページ10
「なんで手前が泣くんだよ?」
困ったような顔をして、頭を乱暴であるけど撫でる彼に私は余計泣きそうだった。
「別に、両思いになりゃいいだけの話だろ?」
「それがっ、どんなに苦しいかっ・・中也には、分からないよっ」
好きだ。けれど、別に想うだけで良かった。中也、君が幸せならいいと思ったの。隣で、ただの友人として、仲が良い仕事仲間で良かったの。
それで満足してた。なのに、こんな奇病にかかったせいで、君に対する想いを考えされられ、そしてこんなにも苦しいっ!
「っ、」
「中也?中也っ!?」
突然口元を覆い隠し、顔を歪める彼。そして、その口から吐き出された花が、床一面へと咲き乱れた。
それが、異様であるけれど綺麗だと思った私はもう、遅い。
「はっ、」
「中也、大丈夫?水、持ってくるからっ」
台所へ行こうとしたけど、中也に腕を掴まれ彼の腕の中へ
「ふざけてるの?!中也、苦しいならっ、はやくっ」
早く、告白しに行って。もう、私の所に来ないで。苦しむ貴方を見たくはない!
「黙れ。」
苦しそうに顔を歪めさせながら、彼は私に接吻した。最初は唇同士が触れるだけ、それが回数を重ねるほど深くなっていく。
「ちゅ、やっ」
彼から逃げようとするけれど、所詮は男と女。勝てる筈もなく、彼が満足するまで幾度も繰り返された。
「もう、苦しむ必要はねぇよ。」
「な、んで・・・」
私にはわからない。わからないよっ、言葉で伝えてよ!私はっ!
「あ、がっ、」
そして再び吐き出した花は白銀の百合。今まで見たことがない花
「な、に・・・これ」
「完治したんだよ」
「完治・・・したの」
信じられず、私は百合の花に手を伸ばした。
「中也は?中也は・・・・・・?」
「お互いに完治してんだ。莫迦じゃねぇなら、わかるだろ」
ー両思いでしか、完治出来ないのがこの花吐き病ー
つまり、答えはひとつで・・・。
「・・・ごめんなさい、中也っ」
気付かなかった。私は目を背けていた。逃げていたんだ。
「確か、手前・・・両思いがどんなに苦しいかって、言ってたな。その、ご感想は?」
「わからないっ、ただ、自分が壊れそうっ」
両思いになってからも、私はわからない。好きだという感情が湧き上がり、それが体中を駆け巡る。胸が苦しい。
好きと恋って、どうして繋がるの?
「壊れればいい。俺が、手前に教えてやる。両思いになったんだからな。」
そうして二人は、花が咲き乱れる中で影が重なった。
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作者名:翼 | 作成日時:2016年6月25日 8時