花吐き病ー中原中也 ページ8
※主人公は花吐き病を患っているという設定です。
花吐き病とは片思いをこじらせて苦しくなると口から花を吐く奇病らしい。
完治するには両思いにならないといけないとか。
詳しい事は忘れたが、私の友達がそれで、その吐き出した花に触れたことで感染してしまった。
「あ、がぁっ」
「またか?」
背中をさすってくれる彼に私は苦しさで涙を流しながら謝った。
感染者である私は、ただの感染者だと思っていた。誰も、好きじゃないと思った。
実際、この奇病にかかってから恋をしていると知って自嘲した。
「ごめん、中也」
床一面に広がる赤い花びらに、私はそれが血のように見えた。汚い色だと
「感染するらしいから、触らないでね」
「あぁ」
花に触れれば感染する。中也には感染して欲しくなかった。けれど、彼が片思いをこじらせて苦しみ、そして、その口から花を吐き出すのかと思うと、その花や花びらは綺麗なのではないかと思ってしまう。
おもいなぁ。なんて、そんな事を考える自分が馬鹿らしく思った。
花をトイレで流し込み、どうしたらこの奇病が治るだろうかと考える。
完治するには両思いしかない。それぐらいしか方法がなければ私のこの奇病は治らないまま。
これでは当たって砕けろと言われてるようなものではないか。
まさか、片思いをこじらせる程、誰かを好きだなんて知らなかった。きっと、恋という感情だと知らなかったか、それを違うと思い込むようにしていたか
どっちにしろ、自分の事なのに興味がない。
「そんなに片思いをこじらせてんなら告っちまえよ。辛いのは手前だろ。」
「それが出来ないから、こうして居るんだよ」
「出来ねぇんじゃなくて、しねぇんだろ?」
「あははっ、怒らないでよ」
中也は、私が花を吐き出して、その後始末をした後は絶対苛立ってる
「そんな病にかかっちまうほど、そいつが好きかよ」
「・・・さぁ?」
「はぁ・・・はっきりしろよ」
なんて、まさか君が好きなんです。とどこかにあるような言葉を言えればきっと楽なんだろう。
しかし、花吐き病で、もし相手に告白し、断られたらどうなるのだろう。両思いでしか完治出来ないのなら、告白して断られたら完治せず、治らずに生きなければならないのだろうか。
それはまるで拷問ではないか。苦しいものだ。
「まるで他人事みてぇだな」
「なんか、どうも実感というか・・・私にはわからなくて」
恋なんてしたことがないのに、どうして人はそれを恋と分かるのだろう
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作者名:翼 | 作成日時:2016年6月25日 8時