【文豪ストレイドッグス】異常な彼の愛し方-壱- (ページ40)

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続ページ40

ーやっぱり嘘吐きなんだね

ーさっさと謝ればいいのに

そんな心無い言葉で、どれだけ傷付いてきたのだろう。それは誰にも分からない。誰も知るはずない。

逃げようと思ったけど、人が集まって逃げ道はなくなっていた。

「逃げるの？だったら最初から嘘なんて吐かないでよっ！」

知らない。私は何も知らない。何も知らない！

そんな言葉でさえ、人は私に嘘吐きだという。

「謝ってよ。謝りなさいよ！」

「私は･･･。」

助けを求めて周りを見ても、誰も助けてくれない。誰も、彼女を嘘吐きとは思わず、私を嘘吐きだと想っている。

「謝りなさいよっ！」

「･･･ご、ごめ･･」

周りの人達の視線と目の前の彼女の言葉に私は知りもしない罪を認め、謝ろうとした。涙が溢れた。

「何で君が謝るの」

腕を掴まれ、頭には帽子を被せられた。

「誰よ、あんた」

「別にそんなのどうでもいいでしょ。それより、何で君が謝るの。嘘なんて吐いてないのに、そうやって嘘吐きだって嘘吐かれて」

「何よ。私が嘘吐きだって言うの！？」

「うるさい。僕はあんたじゃなくて、この子に聞いてるの！部外者は邪魔しないでよ」

「はぁ！？」

このまま彼と彼女で話していたら彼女の怒りに、火に油を注ぐ結果になるだけだ。

「いいです。私は･･･」

「彼女はそう言ってるわよ！？」

「嘘だよ。」

彼は、江戸川乱歩さんだけはそう言ってくれた。嘘だと言うけれど、それは嘘が嘘だということを。

「そもそも彼女が嘘吐きなんていう情報を信じるなんて莫迦だね。」

「ば、莫迦！？」

「そうだろ。だって他人の情報なんて人が人へ伝える度に少しずつ真実と重要な事はなくなるか、変わっていくものだからね。それを彼女が嘘吐きなんて、知りもしないのに勝手に決めつける。そんなのは莫迦な人間が考えることさ」

「でもっ、彼女は昔から嘘吐きだって！」

「嘘吐きは君たちさ。彼女を傷付け、自分に罪はないって嘘を吐く。そして、彼女を嘘吐きと嘘を吐く。彼女を知りもしないのに、彼女を知ったように、知っているように、人は彼女に罪を着せる。彼女の嘘に気づかないなんて、僕には分からない。」

さぁ、帰ろうと私の手を握り締め、歩き出す乱歩さんに私は涙が流れて止まらなかった。だが、乱歩さんが不意に足を止めた。

「それと、心無い言葉で彼女を傷付けるの止めてくれる？彼女じゃなくて、此処に集まった君たちも、莫迦だよ。」

それだけ言って、乱歩さんは再び歩き出した。